FA糸井の獲得を目指す阪神。“ビジョンなき補強”で思い起こされる過去の失敗
フリーエージェント(FA)宣言選手の告示が締め切られた。今年の注目選手は阪神が獲得を目指すといわれている、オリックスの糸井嘉男だ。
2016/11/10
アピール続けていた高濱が移籍する事態に
一方、2011年、小林宏の獲得は阪神のある部分が欠落していたことを露呈した。
ファームの選手の力量をいかに把握するかという、眼力の部分である。
小林宏を獲得した際、阪神は人的補償として当時21歳の高濱卓也をロッテに譲渡した。
高濱は07年高校生ドラフト1位で入団した期待の選手だった。中学時代から名を馳せ、地元の佐賀商、横浜、大阪桐蔭などが食指し、横浜へ進学。高校1年からレギュラーを獲得すると、3番ショートとして2年春のセンバツ大会を制覇した。
当時のドラフトでは、中田翔を入札したあと、抽選で外して指名したのが高濱だった。由規(ヤクルト)、岩嵜翔(ソフトバンク)、唐川侑己(ロッテ)、田中健二朗(横浜)らが名を連ねた豊作のドラフトの中で、高濱を獲得できたのは非常に幸運だった。
さらに、ロッテへの譲渡目前の2009年春、高濱はキャンプ、オープン戦で1軍に帯同。期待の選手として首脳陣からも高い評価を得ていたのだ。この1年が彼にとっても、チームにとっても大事になるというのは誰の目から見ても明らかだった。
その高濱をプロテクトから外したのである。
この件以降、結果的に阪神は補強に際し、人的補償が発生するFA選手の獲得を見送るようになっている。