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馴じみの選手が去る寂しい秋の楽しみ方――「ルーキー以前」のファイターズ戦士をチェック、期待感を高めよ【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#42】

ファイターズの野球が見られない秋。引退、移籍や寂しい話題が多い中、ドラフトに指名された選手を見に行き、期待感を高めるという、秋の過ごし方もある。

2016/11/13

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ドラフト後の神宮で「ルーキー以前」の選手を楽しむ

 で、寂しがってばかりもいられないので一計を案じて、先日は東都大学リーグの入れ替え戦に出かけた。専修大(1部最下位)vs国士館大(2部優勝)の戦いだ。神宮球場のスタンドは当然、両校の学生、OB中心で、そこに熱心な学生野球ファンが加わった状態だったが、実はファイターズファンも一定数混じっていた。
 
 ドラフト4位の森山恵佑が見られるからだ。森山は188センチ、92キロ、左投左打の外野手。星稜高校出身の強打者ということで、先輩の松井秀喜氏にあやかって「シン・ゴジラ」と見出しになったりしている。今シーズンは当初4番だったが、調子を落とし途中から下位にまわった(この試合は6番レフト)。主将として何が何でも1部残留を勝ち取り、プロへ進みたいだろう。
 
 小春日和の日曜日だったが、15時開始とあって次第に陽が傾き、寒くなっていく。試合は両校チャンスを生かせず1対1の接戦のまま、ラッキーセブンまで進む。僕は幸福だった。野球にありついている。専修大は昔、自分が学生だった頃、見たの(エースは山沖之彦。もっと南海っぽい緑ユニだった)と違って、オークランド・アスレチックス風になっていた。走者をため5番・秦匠太朗が2点タイムリーを放ち、均衡が破れる。そこで登場したのが森山だ。この試合まだノーヒット。足をぎゅっとしぼって土を掴んで立つ。上体はゆったりだ。国士館大のリリーフ・矢口徹朗の投球にタイミングを合わせる。そしてスパッとバットに乗せて運んだ。これはいいものを持っている。打った瞬間、ホームランとわかる当たり。トクした~。森山の2ラン見ちゃった~。
 
 後で聞いたら今シーズンは4月の日大戦以来、久々のホームランであったようだ。試合はそこからワンサイドに傾き、14対1の大勝だ。翌日も勝利して「森山主将」は母校を1部残留させる大役を果たした。最高のシーンを見に行ったことになる。
 
 僕はドラフト後の神宮球場にはお世話になっている。入れ替え戦は珍しいかな。大概は明治神宮大会だ。これの何がいいってドラフトに指名されたルーキー、というか「ルーキー以前」の選手をピンポイントで見に行き、期待感を高められるところだ。これが小関順二さんなら日頃からまんべんなく見るところだが、こちらは指名されてからピンポイントだ。効率がいい。そのくせ「俺は○○のプレーを学生野球から見てる」と言い張れる。見てることは見てるからウソはない。
 
 馴じみの選手が戦力外になったりして凹む季節、仕事をさぼって神宮へ出かけるのだ。そこに(ピンポイントで)未来のファイターズ戦士が待っている。
 
 思い出深いのは近大の清水章夫(97年ドラフト1位、日本ハム→オリックス)、それから東洋大の大野奨太(08年ドラフト1位)だ。秋日を浴びてキラキラ輝いていた。やっぱり大学のユニホーム姿をパッと思い浮かべられるのは格別だ。そこに「オークランド・アスレチックス風の森山恵佑」が加わったことになる。背番号は「1」だった。プロでもホームランをかっ飛ばしてくれ。
 
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