カープドラ1加藤拓也、個性あふれる剛腕投手――全力投球にこだわる理由
来季カープに、また一人個性的で魅力的なピッチャーがやってくる。今年、ドラフト1位指名を受けた加藤拓也(慶応大)だ。
2016/12/02
自分自身の体をフル活用
厚い胸板と鍛え抜かれた下半身でマウンドに立つ。
足を高く上げる投球フォームはテークバックも極めて小さい。この個性から放たれる153キロの速球は圧倒的な迫力を持つ。しかし、加藤拓也には「剛腕」という二文字で語りつくせない魅力がある。
175㎝の身長は野球界では決して大きい部類ではない。だが、加藤はウエイトトレーニングに体幹トレーニング、さらには柔軟性をも追求し、強く・しなやかな体を作ってきた。そして、この体をフルに活用することを考えたのである。
「大学1年の秋が終わって、直球をより速く、より強く、よりキレのあるものにするため体全体を大きく使おうと思いました。自分の体は大きくはないので、全てを使わないといい球は投げられないだろうと考えたのです」
その方向性から、足を高く上げて上体の筋肉もフル活用する投球フォームが生まれたのである。
もうひとつの彼の武器は打者に向かっていく姿勢である。気持ちを前面に出してバッターに向かっていく姿はカープのスカウトたちの評価を高めるには十分なものであった。
「相手に向かっていく姿勢、闘志を出していく姿勢です。相手を抑えるためにベストを尽くすことに集中するうちに、こういうスタイルになりました」
元来がパワーあふれる力投型である。連投も苦にしない。ペース配分という言葉も無縁である。「僕がそういうピッチングをしても、魅力はないでしょう」。あくまで加藤は全力投球にこだわりを見せる。