生き残りを懸けたトライアウトは『イベント』にあらず。華やかさ不要、今一度開催意義の見直しを
11月12日にプロ野球12球団トライアウトが開催された。今年は甲子園球場で開催されたが、残念なシーンが目立った。
2016/12/05
出会い一つ、タイミング一つ
何とかならぬものか。
アマチュア時代に取材した選手たちの“最後の意地”をみながら、じれったさが残った。
11月12日に甲子園球場で開催されたプロ野球12球団トライアウトでのことである。
参加者は65名。読売ジャイアンツと横浜DeNAベイスターズに所属した久保裕也や、福岡ソフトバンクホークスや東京ヤクルトスワローズで活躍した新垣渚など名のある選手もいれば、3年以内にクビを切られた選手も多数おり、複雑な気持ちにかられた。
それぞれに事情もあっただろう。ケガに泣いた選手、投球フォームを矯正されて、アマチュア時代ほどのストレートが投げられなくなったケースなど様々である。
プロ5年目で戦力外となった西川健太郎(中日ドラゴンズ)はそのうちの1人だ。
今シーズン途中からサイドスローに転向していたのをこのトライアウトではオーバースローに戻して参加していた。
「サイドスローにすれば、もっといい結果になったかもしれないですが、とにかく後悔だけはしたくなかった。オーバースローで悔いを残さないようにと思って投げました」と語る姿からは葛藤といったものを感じさせた。同じ中日の同期・川崎貴弘は、高校時代からほとんど成長した姿をみせることが出来ず低いパフォーマンスで投球を終えた。
果たして、日本の育成はどうなっているか。
そんな批判めいた気持ちもこみあげてくるが、これが人生というものだ。出会い一つ、タイミング一つで成長の機会を失ってしまう。トライアウトはそうした葛藤の中にある選手たちの集まりなのだ。肝心なのはここからどのような道を歩むかだろう。