遊撃手としては北條が上? 鳥谷の起用法は、来季阪神の大きな課題【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は来季の阪神の正遊撃手争いについてだ。
2016/12/08
試合数は少ないが、攻守にわたり鳥谷を上回る数字を残した北條
守備成績は遊撃手だけのもの。
北條は今季一軍での出場チャンスをつかんだ若虎だが、打撃成績で鳥谷を上回った。
しかも守備率でも、RFでも北條が上だ。
RFは守備機会÷試合数(今回は遊撃手として出場した試合数)だから、守備固めなど途中出場が多い選手のほうが本来は低くなるはずだ。北條が遊撃手としてフルイニング出場した試合は25試合だけ。それでも鳥谷のRFを上回っている。数字のみを見比べれば、遊撃手としての能力も、北條が上回っていると言ってよいだろう。
数字を見る限りでは、鳥谷を来季、これまでのように正遊撃手として起用するのは厳しい状況だ。
また守備機会が遊撃手よりも少ない三塁手には、打撃での成果が求められるが、今年の成績では明らかに物足りない。
鳥谷は今年一軍公式戦への連続フルイニング出場が667試合で途切れた。しかし連続試合出場記録は1752試合まで伸びて継続中だ。衣笠祥雄の2215試合、金本知憲の1766試合に次いで史上3位。
金本監督にとって、あと14試合で自己の記録に並ぶ鳥谷をどのように起用するかは、難しい判断になるだろう。
その上に鳥谷は2015年に年俸4億円(推定)で5年契約を結んでいる。球界屈指の高年俸選手を控えで使うわけにもいかない。
当然、鳥谷が攻守において完全復調を果たし、好成績を挙げれば、すべての問題は解消する。阪神にとって、鳥谷をどう生かしていくかは、来季を臨むうえでも非常に大きな課題となるのは間違いない。