東京ヤクルト西浦「来年レギュラー獲らなければ、もうチャンスは来ない」。正遊撃手へ越えるべき大引啓次の壁【2016年ブレイク選手】
今シーズンは相次ぐ故障者の穴を埋めながら、自己最多の72試合に出場した東京ヤクルトスワローズの西浦直亨。チーム3位タイの7本塁打、同2位の9盗塁を自信に、プロ4年目を迎える来季は堂々ショートのレギュラー獲りに挑む。
2016/12/09
菊田康彦
大きな転機となったプロ3年目のシーズン
「自分が思っていたよりもすごい評価していただいて……金額で言ったら800万円増です」
先月28日、東京都内の球団事務所で契約更改を終えた東京ヤクルトスワローズの西浦直亨(25歳)は、そう言って笑顔を見せた。今年は大引啓次、川端慎吾といった故障者の穴を埋め、自己最多の72試合に出場して打率.255、7本塁打(チーム3位タイ)、9盗塁(同2位)をマーク。法政大からドラフト2位でヤクルトに入団して3年、年俸はようやく2000万円に到達した(金額は推定)。
そのデビューは華々しいものだった。2014年の開幕戦、ルーキーながら八番・遊撃でスタメンに抜てきされると、大学の1年先輩にあたる横浜DeNAベイスターズの三嶋一輝から第1打席でいきなり3ラン。開幕戦プロ初打席初球ホームラン──長いプロ野球の歴史でも例のない冠のついた一発が、西浦がプロ野球の世界に記した第一歩となった。
「つかみは良かったんですけど、その後が続かなかったんで……。プロって一発目だけじゃダメなんだなってわかりました」
衝撃的なプロデビューを、西浦はそう振り返る。確かに「つかみは良かった」。だが、開幕から14試合の出場で打率.156、本塁打もその1本だけに終わると、そこで二軍落ち。さらに2年目の2015年は、レギュラー不在の状態だった遊撃のポジションに大引がFAで加入。開幕ベンチ入りもならず、大引が故障で離脱した5月に一軍に呼ばれたものの、出場はシーズントータルで26試合にとどまった。
そして2016年、プロ3年目の今シーズンが西浦にとっては大きな転機となった。2年ぶりに開幕ベンチ入りを果たしながら思うように結果を出せず、5月下旬には二軍落ちしたものの、7月初めに一軍に復帰。ほぼ時を同じくして腰痛で離脱した大引に代わって一番・遊撃に座ると、そこから4試合連続安打。7日のDeNA戦(横浜)では、一時は同点となる1号ソロを放つなど、起用に応えてみせた。
大引は後半戦スタートと同時に復帰したが、入れ替わるように今度は正三塁手の川端が自打球で右足舟状骨を骨折。すると今季はファームで三塁を23試合守っていた西浦が、代わりにサードで起用されるようになる。
7月22日の中日ドラゴンズ戦(ナゴヤドーム)で自身初の満塁ホームランを打つと、8月は三塁(14試合)、遊撃(10試合)で全試合にスタメン出場。山田哲人が左第八肋骨骨挫傷で登録を抹消された10日からは6試合連続で三番を任され、11日の中日戦(ナゴヤドーム)と17日のDeNA戦(神宮)で猛打賞、12日の読売ジャイアンツ戦(神宮)では決勝の4号ソロと、存在感を発揮した。この月に挙げた10打点は、チームでも4位の数字だった。