東京ヤクルト西浦「来年レギュラー獲らなければ、もうチャンスは来ない」。正遊撃手へ越えるべき大引啓次の壁【2016年ブレイク選手】
今シーズンは相次ぐ故障者の穴を埋めながら、自己最多の72試合に出場した東京ヤクルトスワローズの西浦直亨。チーム3位タイの7本塁打、同2位の9盗塁を自信に、プロ4年目を迎える来季は堂々ショートのレギュラー獲りに挑む。
2016/12/09
菊田康彦
正遊撃手へ越えなければならない壁
課題といわれていた打撃で、西浦が今シーズンここまで成長した要因はどこにあったのか?
「技術的なことで言えばたくさんあるんですけど、トータル的に見たら打席の中でしっかりと『プラン』を遂行できるようになったっていうところで、すごく成長したと思います」
二軍コーチ時代から西浦を指導してきた宮出隆自打撃コーチは、そう指摘する。
「打席の中で、このピッチャーを打つためにどういうボールを捨てて、どういうボールをチョイスするか。そういうプランをしっかり遂行できるようになったのが、一番成長した部分じゃないかと思いますね」
打席の中で自分なりにプランを立て、それを遂行する──。それは「ずっと意識してきたこと」と、西浦自身も言う。
「普通にただ来た球を打つだけでは一軍では通用しないなって思って……。向こうもプロなんで、こっちもちゃんとしたプランを持っていかないと打てないですから。(打席の中で)いろいろ考えて、感じれるようになったのかなとは思います」
もっとも今シーズンの成績には、決して満足はしていない。
「打率ももっと上げたいですし、盗塁の数も20個、30個っていうふうに目標を立てたいです。打率だと3割を目指したいですし、ホームランだとやっぱり2ケタは打ちたいですね」
それには越えなければならない壁がある。法政大の7年先輩で、今季も遊撃手としてはチームトップの88試合に先発した大引の存在である。
「やっぱり自分が圧倒して大引さんを超えていかないと、ショートのポジションでは試合に出られないと思うので。ポジション的には(三塁も含め)いろいろ守れたほうが試合に出るチャンスも増えるとは思うんですけど、まずはショートでレギュラーを獲りたいという思いです」
もちろん大引も、そうやすやすと正遊撃手の座を明け渡すつもりはない。西浦を「ライバル」と認め、「戦うわけじゃないですけど、チーム内で競うっていう意味では仲良しこよしでやるわけじゃないんで。来年は143試合全部出るつもりでやります」と、ガチンコ勝負を誓う。