新人王に輝いた阪神・高山「理想の打撃は頭の中にある」。高い適応力で、進化しつづけるトラの安打製造機【2016年ブレイク選手】
即戦力ルーキーとしてドラフト1位で入団。開幕戦から1番左翼でスタメン出場するなど、「超変革」を体現する選手として、チームの世代交代を強く印象づけた。
2016/12/10
シーズン途中に打撃フォーム改造!?
また、その適応力の高さはシーズン中にも垣間見ることができた。開幕直後は好調をキープしていたが、5月から6月にかけて調子が下降。打率も一時、2割5分台にまで落ち込んだ。
「1年間通して試合に出るのは初めての経験だったので、疲労がたまっていたことが一番大きな原因だったと思う。自分の感覚と打撃にずれが生じていた」
苦しんだ時期を髙山はこう振り返ってくれたが、その解決策がまた凄い。シーズン中にもかかわらず、打撃フォームの改造に着手したのだ。それまでよりも軸足を意識したフォームに変えることでボールをより懐まで呼びこみ、強い打球も増えてきた。本塁打も前半戦の2本に対し、後半戦は6本と、その成果は数字で見ても明らかだ。
打撃フォームの改造は大きなリスクも背負う。ひとつ間違えればさらに調子を崩し、成績の低下を招いてしまう恐れもある、いわばギャンブルだ。だからこそ、ほとんどの選手はシーズンオフ~春季キャンプにかけて、フォーム改造を行う。
そんなギャンブルを、1年目のルーキーがこともなげにやり遂げ、さらには結果に結び付けた。その適応力があったからこそ、シーズン通して一軍に帯同し、結果を残すことができたのだろう。シーズンオフ、髙山はさらなる進化に向け、トレーニングに励んでいる。
「頭の中では理想の打撃は完成している。何年かかるか分からないけど、あとは体をそこにフィットさせていくだけ」
髙山の能力をもってすれば、「理想の打撃」を体現するまで、そう時間はかからないかもしれない。