日本ハムと対戦相手の”ひいき”ぶりを同時に堪能――ラジオ中継の新しい楽しみ方【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#44】
今やラジオは全国好きな局の好きな番組を聴ける時代になった。その結果、また違ったプロ野球の楽しみ方もできるようになった。
2016/12/16
映像がない分、想像力で補う
シーズンオフなので好きなことを書く。読者はradikoを愛用されているだろうか。一応、(あんまり適任ではないが)説明すると民放ラジオのインターネット配信である。従来のラジオ受信機(?)ではなく、PCやスマホを通して番組聴取ができる。2010年にサービスが開始されたときは、スマホが即・携帯ラジオになるだけで画期的だった。
僕は幼い頃からのラジオファンで、小学校5年生くらいにはもう小型ラジオを持って、夏休み、相撲中継を聴きながら町の眼医者さんにトラホームの治療に行ったり(市民プールで伝染された)、夕暮れどき、ナイター中継を聴きながら「ピッチャー振りかぶって第1球投げました」と実況に合わせ、壁に軟球をぶつけたりしていた。ラジオは言わば「マイナス1」のメディアだ。映像がない分、そのマイナスを想像力で補う感じになる。実況アナの描写する「仕切りを重ね、上気してきた力士の身体」や「薄暮の神宮球場にカクテルライトが灯る様子」を思い浮かべるのだ。2010年当時は、radikoのおかげで駅からの帰り道、ナイター中継を聴きながら歩く幸福感を思い出していた。
が、2014年に画期的なサービスが始まる。有料(月額350円)の「radikoプレミアム」にエリアフリー機能が追加された。エリアフリー。これはエリアがフリーなのだ。日本全国好きな局の好きな番組を聴いていいというもので、僕のような東京在住のファイターズファンには福音だった。何故かというと、HBCラジオやSTVラジオといった北海道局のナイター中継が聴ける。
衛星波の多チャンネル時代になって、パリーグ党の「野球視聴環境」は劇的に改善された。僕の世代はかつて『プロ野球ニュース』(フジテレビ)で「初めて日ハム選手が動いてる絵を見た!」と感激したくらいだ。が、便利になる一方、ずっとテレビの前に張りついてなきゃならないというジレンマがあった。移動の自由がない。その後、動画配信の「パ・リーグTV」ができて、一応、移動の自由が獲得されたが、画面は見てなきゃいけない。