DeNA石田『CSは出ないといけないもの』。今季成長株がたどり着いた新スタイル【2016年ブレイク選手】
2年目の今シーズン、DeNA左のエースに成長しつつあるのが、石田健大だ。
2016/12/22
大学時代とは異なるスタイルに
「シーズンを通して一番安定していたピッチャー。彼はマウンドで何をすべきかわかっている」
横浜DeNAベイスターズのアレックス・ラミレス監督は、左のエースへと成長しつつある石田健大を以上のように評した。
2年目の今シーズン、石田は開幕から先発ローテーションを守り、25試合に登板。9勝4敗、防御率3.12という上々の成績を挙げた。とくに圧巻は5月で、4試合に登板し4勝。27イニングを投げ失点はわすか1、防御率0.33という驚異的な数字を挙げ、見事セリーグの月間MVPに選ばれた。
石田は今シーズンを次のように振り返る。
「すごく充実していました。1年間、一軍にいれたことは自信になりましたし、良いときも悪いときも投げさせてもらったのは大きな経験になりました。本当に濃いシーズンだったと思います」
昨年のルーキーイヤーは左肩痛の影響で出遅れ、2勝6敗の成績だったが“勝てなかった昨年”と“勝てた今年”を比較し、自身の中で一番なにが変わったというのか。
「やはり気持ちの面でしょうね。昨年は『次の試合はどうしようか』と考えたりしていたのですが、今年は深く考えず、勝ち負けを気にするわけでもなく、任された試合で腕をしっかり振って投げ切ろうといった気持ちだけでした。それが良かったんだと思います」
今シーズンからフォークを投げるようになり、さらに勝負どころのチェンジアップが非常に冴えており効果的だったが、テクニカルな部分でどのような成長があったのだろうか。
「基本的にはテイクバックを小さく、変化球でも真っ直ぐでも腕の振りを一緒にするということを念頭において投げていました。あとはどれだけバッターの手元でボールが伸びるか、落ちるか。そこを追求していました」
ベース上での繊細な『角度』と『変化』、そして『タイミング』が石田の生命線だ。その証拠に大学時代には150キロを記録したストレートの球速も、現在はアベレージで140キロ前半。それでもしっかりと空振りを取っている。
「球速で押せるのは大学までだなとプロに入って気づいたんです。速いボールに当てるバッターはプロにはいくらでもいますからね。大事なのはバッターが考えている以上のボールを投げること。そういう観点から追求すべきは球速よりも球威だし、どれだけベースの上でボールを動かせるか鍵になると。
ストレートは回転の綺麗なボールを心がけ、コースはバレてもいいから、要求されたところにきちんと投げることだけ考えていました。そういう意味では戸柱(恭孝)さんがリードしてくれたコースに投げ切れたと思うし、だからこそ数字もついてきた。今後はもっとそこを追求することができれば、さらに良い数字を残せると思います」