DeNA石田『CSは出ないといけないもの』。今季成長株がたどり着いた新スタイル【2016年ブレイク選手】
2年目の今シーズン、DeNA左のエースに成長しつつあるのが、石田健大だ。
2016/12/22
刺激しあう、若手左腕投手たち
気がつけば、この石田を中心に今永昇太、砂田毅樹などを擁し左腕王国になりつつあるDeNAであるが、左腕ならではの視点などを互いにディスカッションをする良い相乗効果があったようだ。ルーキーの今永は、ひとつ上の先輩である石田について次のように語る。
「同じサウスポーということで共通する部分は多いと思うので、ピッチングは常に追いかけています。石田さんが投げている所に僕も投げられれば抑えられるのではないかといった読みはあります。まだまだ足元およびませんが、いつかは追い越したい」
石田もまた今永に大いに刺激を受けたシーズンだったという。
「キャンプで見たときすごく良い球を投げていたので、これは負けられないなって。そういう気持ちを持てたのは大きかったかもしれません。来シーズンはこれもまた同じ左腕の濱口(遥大)が入ってきますから、また刺激をもらえれば、良い結果が残せると思っています」。
さて来シーズン、石田にとっての課題は明白だ。それは、いかに完投・完封のできる投手へと成長できるかである。
今シーズンは過去の左肩痛への懸念、また「若い投手の球数制限は将来へつながる」といったラミレス監督の方針から、石田は85~100球前後の球数制限を余儀なくされ、8回以降のマウンドに立つことはなかった。
ただ、その影響で勝てたとおぼしき試合を落としたこともあった。暑さの盛りで選手の誰もが苦しい8月5日の中日ドラゴンズ戦では、7回を94球投げ1失点。3‐1とリードした状態でマウンドを降りたが、その後、リリーフ陣が打たれチームは逆転負けを喫した。
さらに8月12日の広島東洋カープ戦では85球1失点で7回を投げ降板。2‐1とリードしていたが三上朋也と山﨑康晃が打ち込まれ、これもまた逆転負けをしてしまう。
ラミレス監督が勝利の方程式にこだわったゆえのことではあるが、とくに広島戦は85球という石田の球数と、調子を狂わしていた山﨑の起用もあり批判の的となった。
たしかに球数制限のおかげで石田が年間を通しローテーションを守れたという向きもあるが、来季はその双肩にかかる期待を考えればそうはいかない。
「来シーズンは、もう少し長いイニングを投げさせてもらえるようなピッチャーになりたいです」と、石田は厳しい表情で誓っている。
今シーズンDeNAは初めてクライマックス・シリーズ(CS)へ進出した。石田は、読売ジャイアンツとのファーストステージ第3戦に登板したわけだが、この初体験となった異次元での登板は、その後の高いモチベーションに繋がっているという。
「とにかくすごい雰囲気でしたよね。シーズン中と変わらない相手にも関わらず、普段とはまったく異なるピリピリとした状況。緊張の連続でしたけど、あれを2年目に経験できたのは、すごく大きかったと思います。CSという区切りの試合の重要さというのを痛感しました。いわばCSに出たい、ではなく、出ないといけないものなんです」
選手として成長できた場所だと語り、出なければいけないと断言するCS――左のエースとならんとすべく石田は目を輝かせ、最後にこう言った。
「もう一度あのマウンドに立ちたい」