ドラフト5位有吉優樹、営業マンからの転身――お客様優先で、プロへの夢を切り開く【マリーンズ浦和ファーム通信#30】
2016年ドラフト5位で千葉ロッテマリーンズから指名を受けた有吉優樹。九州自動車三菱では一人の営業マンとして仕事と野球を両立させながら、念願のプロ入りを果たした。
2016/12/10
千葉ロッテマリーンズ
営業優先の社会人野球
まだ、営業マンの時の癖が抜け切れない。ふとした瞬間にズボンのポケットにしまい込んである携帯を取りだし、電話が入っていないかチェックをしてしまう。ドラフト5位で九州自動車三菱から千葉ロッテマリーンズに指名をされ入団をすることになった有吉優樹投手は野球に打ち込む一方で、一人の営業マンとしても日々、汗を流してきた。
配属は福岡の福重店。
300人の顧客を抱えていた。ライバルの社会人チームは野球に没頭できる環境が与えられていることも多い中で基本は営業優先。試合前日でもお客様の納車が重なれば、それを優先し仕事が完了してからボールを握る。そんな日々の中からマリーンズの指名を受けた。
「お店は福岡ですから、もちろんお客様のほとんどはホークスファンです。それでもお客様からは『有吉くんが投げる時だけはマリーンズを応援するよ』と言ってくださる。これから接していただいたお客様のためにも早く一軍のマウンドで投げて、マリーンズのユニホーム姿をお見せしたいと思っています」
11月30日、福岡市内で行われたマリーンズとの契約。入団が合意に達すると、そう抱負を口にした。現在は300人いた顧客の引き継ぎ作業の途中。名刺には綺麗な字で1枚1枚に「三菱を退社することになりました。これまでありがとうございました。新しい担当の方もどうぞ宜しくお願いします」と書き添えられていた。1週間前にも軽自動車を1台売って、納車を済ませたばかりだった。