ドラフト5位有吉優樹、営業マンからの転身――お客様優先で、プロへの夢を切り開く【マリーンズ浦和ファーム通信#30】
2016年ドラフト5位で千葉ロッテマリーンズから指名を受けた有吉優樹。九州自動車三菱では一人の営業マンとして仕事と野球を両立させながら、念願のプロ入りを果たした。
2016/12/10
千葉ロッテマリーンズ
プロ入りを諦めず
元々は千葉県大網白里市出身。東金高校から東京情報大学を卒業し、野球を続ける道を模索し、福岡に渡った。ただ、そこは野球で結果を出すことだけが求められている環境ではなかった。企業の営業マンとして仕事を果たしながら、野球を続ける。営業ノルマもあり簡単ではない日々も、夢を諦めず、一生懸命に生きた。
「プロ野球入りを諦めたことはない。むしろ、年々、プロ野球に入りたいという気持ちが強くなった。仕事にも野球にも頑張れた」
慣れぬ営業。苦戦をした。
「車を売ろうと思うな。お客様との関係を築け。ちょっとした提案や、配慮を繰り返すうちにキッカケができるものだ」
上司や先輩からは、そうアドバイスされた。だから、とにかく取引先に顔を出すことを心掛けた。「車の調子はどうですか?」。「ちょっとエンジンの状態を確認しましょか?」。日々の会話を大事にした。チームでは野球の練習中も携帯電話をズボンのポケットに入れることも認められていた。お客様からなにか相談の電話があった時にすぐに対応できるようにチームの全員が持って練習をすることが当たり前に許可されていた。もちろん、すぐに気が付くようにとマナーモードではなく着信音が鳴ることも許されていた。ブルペンでも電話は鳴った。
ある時、気持ちよく投げていると、キャッチャーの携帯がなった。お客様からの電話だった。投げる予定が、投げる相手の捕手は急きょ、お客様のところに行ってしまった。それが当たり前の環境。お客様優先に動くチームは誇りであり、これからも忘れたくない大事な初心だ。
「おかげさまで4年間で30台を超える車を売ることができました。ただ、心残りはパジェロを売ることができなかったことですね。残念です」