パリーグ新人王・高梨裕稔(日本ハム)、大学時代の恩師が語る非凡なセンスと姿勢。「思考の整理が上手かった」
プロ3年目の今季、10勝2敗と飛躍を遂げ、チームの日本一獲得に貢献した高梨裕稔(日本ハム)。その高梨を発掘し、4年間の成長を間近で見てきた山梨学院大・伊藤彰監督(高梨在籍時はコーチ)が、当時の高梨の姿を振り返る。
2016/12/16
高木遊
運命の出会い
「試合内容よりも、高梨の良い姿ばかりが印象に残っています。“なんだ、この投手は!?”と目を奪われました」
高梨裕稔(現北海道日本ハムファイターズ)の第一印象をそう語るのは、山梨学院大の伊藤彰監督(元ヤクルトスワローズ投手)だ。2009年の夏、当時は高橋一三監督(元読売ジャイアンツ投手/2015年7月逝去)のもとでコーチをしていた伊藤は、木更津総合高の視察に千葉大会の会場を訪れた。その対戦相手が高梨擁する土気(とけ)高だった。
「手足の長さ、腕のしなり、投げっぷりの良さ。打っても4番でしたが、ストライドの大きな走りにも、素材の良さを感じました」
こうした運命で山梨学院大への進学が決まった高梨だったが、伊藤は高梨の資質に入学直後再び驚かされた。
1つは開幕週2回戦の先発に抜擢された試合。高梨は、それまでオープン戦での完投すら無かったにもかかわらず、延長11回160球を投げ1失点と快投を披露。あらためて、その能力の高さを見せた。
そして、もう1つは作文だ。
山梨学院大では毎年、強化クラブに入部した選手たちを対象とした講演会を開催し、レポートを提出させている。そこで、高梨の理路整然としてレポートとメモに、伊藤は「思考の整理も上手なのか」と驚き、「もっともっと高いレベルを目指せる選手なんだな」と、さらに確信を深めた。