ホークス戦力外の猪本「もっと上の景色を見たい」。閉ざされかけた夢をもう一度、千葉からの再出発
福岡ソフトバンクホークスから戦力外通告を受けていた猪本健太郎は、来季、千葉ロッテマリーンズでプレーする。
2016/12/15
上杉あずさ
ロッテの入団テストで結果を残す
「練習だけは続けておかないと」と思いつつも、猪本は8月末に左手親指の靱帯修復手術を受け、全治3カ月と診断されていた。11月12日開催の12球団合同トライアウトには間に合わないため、参加してアピールすることもできない。本当は治らずとも、気持ちの面でのアピールも込めて、何とか受けてみようと悩んでいた。
「オレ、地力あるから、火事場の何とか……ってやつで行けそうな気するんすよ」と笑い、ケガを気にしない様子を見せたこともあった。しかし、「(万全じゃない状態で受けて)もしダメだったときに、ケガのせいにしたくなかった」と受けずに、筑後で練習を続けた。
他球団から声がかかるのかどうか、先が見えず、何を目標にしていいのかわからない状態で、辛かった。それでも、「いざというときに自分のパフォーマンス出せんといかんし、自分に期待したいから。準備だけはしっかりしとかんと」と前を向いた。そんなときに届いたのが、千葉ロッテマリーンズからの入団テストの知らせだった。くじけそうになっていた心を持ち直させてくれる吉報だった。
先月15日~17日の期間で、前・阪神タイガースの柴田講平、BC石川ミリオンスターズの三家和真と共に、猪本はロッテの鴨川秋季キャンプで入団テストを受けた。「人生最後の打席」だと思って悔いなくやり切った。結果は6打数2安打。12月に入って「一緒に頑張りましょう」と合格通知を受けた。
「電話来て、最初は、何かテンパったっす(笑)」
もちろん、受かるためにここまでやってきたが、喜びと驚きの不思議な感情だったと笑顔で話した。