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3人目のFA選手、陽獲得。大型補強を決断させた巨人の事情【死亡遊戯コラム】

巨人が陽岱鋼(日本ハム)との契約合意を発表。史上初のFA選手3人同時獲得となったが、今オフの大型補強から、チーム事情が見て取れる。

2016/12/15

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編成を迷走させた阿部のポジション

 台湾の英雄の新背番号は「2」。
 
 ついに読売ジャイアンツが陽岱鋼(北海道日本ハムファイターズ)との契約合意を発表した。
 これですでに入団発表した山口俊(横浜DeNAベイスターズ)、森福允彦(福岡ソフトバンクホークス)に続き、史上初のFA選手3人同時獲得。
 
 加えて新外国人選手として13年に東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーしたケーシー・マギーを補強。さらに抑え候補の助っ人投手の獲得も有力視されている。
 久々の大型補強に邁進する巨人だが、そこに至るチーム事情を検証してみよう。
 
 まず、ここ数シーズンの編成を迷走させていた1番の原因は「阿部慎之助のポジション問題」である。
 例えば、15年シーズンの阿部は一度は1塁転向を決断。だが開幕直後にチーム事情でマスクを被ると、故障離脱を挟み6月途中まで捕手として出続けるも身体が悲鳴を上げ、以降は完全に1塁手でプレー。
 
 そして、今季は再び「正捕手阿部」を想定してキャンプインしながら、右肩痛により開幕2軍スタート。1軍復帰後は1塁手として出場し続けた。
 要は大黒柱・阿部の起用法が二転三転することで、チーム編成も後手に回っていたのである。
 それが今オフは早々に「来季は1塁専任。捕手をやりたいけど無理なものは無理」と各メディアで自ら明言した背番号10。
 年明けの海外自主トレでは10歳下の小林誠司を初めて同行させる予定だ。
 もうポジションを争うライバルではなく、ひとりの後輩として。
 来季38歳のベテランがマスクを被ることがあるとしたら、緊急時の第3捕手的な立ち位置だろう。
 
 球団史上最強捕手がついに下したひとつの決断。
 キャッチャー阿部との決別は、新チームの始まりを意味する。
 今シーズンの大型補強は、いわば「打てる捕手阿部の不在を埋めるため」であり、同時に「リーグ打率最下位の正捕手小林の打撃力を他の選手でカバーする」という意志を感じる。
 もしも、首脳陣や阿部自身が例年のように捕手か1塁かで迷いを見せていたら、ここまで思い切って新チームへと舵を切ることもできなかったはずだ。

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