3人目のFA選手、陽獲得。大型補強を決断させた巨人の事情【死亡遊戯コラム】
巨人が陽岱鋼(日本ハム)との契約合意を発表。史上初のFA選手3人同時獲得となったが、今オフの大型補強から、チーム事情が見て取れる。
2016/12/15
長野の起用法にも幅
そして、近年の巨人は明らかに「阿部慎之助・村田修一」から、「坂本勇人・長野久義」への世代交代を計画していた。
原辰徳前監督は2年前に「坂本と長野が主役になれ!」と檄を飛ばし、高橋由伸監督も就任時には阿部に加えて「野手は坂本と長野が中心になってほしい」と名前を挙げて期待。
現に坂本は阿部から主将の座を引き継ぎ、長野も今季約2カ月に渡り4番打者として起用され続けたのは記憶に新しい。
だが、近年の長野の打撃成績は15年が打率.251、15本塁打、52打点。16年は打率283、11本塁打、42打点と物足りない数字が並び、膝を手術した影響もあり、守備・走塁面では精彩を欠くプレーも目立った。
来年33歳という年齢を考えても、ここからデビュー直後の首位打者を獲得した頃の状態に戻るとは考えにくい。
勘違いしないで欲しいが、もちろん背番号7は今でも外野レギュラーとしてはチームに欠かせない戦力だ。
だが、これまでのように長野にチームの中心を託すということは、今後なくなるのではないだろうか。
「4番長野」という理想を追いかけるのではなく、現実的に「6番長野」を実現できるチーム編成を目指す。
そう考えると、一見プレースタイルが被る1番センター起用が濃厚な陽岱鋼や4番候補マギーの補強も頷ける。
もちろん日本ハムからトレードで23歳の石川慎吾外野手を獲得したのも、外野陣の再構築という意図があるはずだ。
V3チームを支えた阿部や長野の負担を減らす、陽やマギーの加入。
そして内海哲也、杉内俊哉、山口鉄也らの衰えをカバーする山口俊、吉川光夫、森福允彦といった新戦力。
こうして見ると、由伸監督の1年目は実質的に「原巨人との決別」のシーズンだったように思う。
2017年、チームのベースそのものを変える補強で、由伸巨人は再スタートを切る。