ロッテ・細谷圭、「点」から「線」へ――プロ11年目の発想転換で乗り越えた一軍の壁【2016年ブレイク選手】
毎年毎年期待されながらも結果を残せなかった男が、2016年遂にようやく一軍の壁を乗り越えた。千葉ロッテマリーンズ・細谷圭だ。
2016/12/16
バッティングの発想転換
昨年までは一軍と二軍を行き来して全国的にはほぼ無名の存在だった。それが今季、これほどまでの大ブレークである。いったい、何が彼をそこまで変えたのか。
今季、細谷は自身のバッティングに対する考えをガラリと変えた。
「点」でボールを捉えるスイングから「線」で捉えるスイングへ。
「これは感覚的な話になるんですけど、ボールの後ろから見るようにすればラインはその分長くなるわけじゃないですか。それが点で捉える意識だと、その点の部分だけしか打てなくなるわけです。でもボールに対して線で捉えるイメージなら、その分の幅が広がるし、タイミングをずらされてもファールにできたり、緩急で崩されても対応がしやすくなる。それがあったんです」
大きく派手なことよりも、小さなことからコツコツと。
6月17日の対巨人戦では、初回の先頭打者として打席に入り、菅野智之を相手に粘りに粘っていきなり12球を投げさせた。結果こそ三振に終わったが、この粘りが試合終盤になって効いてきたのか、菅野は6回までに127球を投げて降板。相手エースを攻略し勝利した伊東勤監督も「今日は細谷で決まりでしょ」とこの日の一番の功労者として彼の名前を挙げた。
「つまり確率の向上だと思うんです。自分はどちらかと言えばパワーがない選手よりはあるほうのタイプだと自分では思うんです。線でボールを捉えても、ある程度、ボールは飛ばせるし、そこで長打が打てなくなるんだったら、考えを少し改めたのでしょうけど、やってみたらそうではなかった……。だったら今年1年は確率を上げようと思ったんです」