ロッテ・細谷圭、「点」から「線」へ――プロ11年目の発想転換で乗り越えた一軍の壁【2016年ブレイク選手】
毎年毎年期待されながらも結果を残せなかった男が、2016年遂にようやく一軍の壁を乗り越えた。千葉ロッテマリーンズ・細谷圭だ。
2016/12/16
一つの目安を超えれば別の感情が出てくる
今年10月、彼と共にファームで一緒に汗を流してきた青松慶侑が千葉ロッテから戦力外通告を受けた。発表になった翌日、いてもたってもいられなくなった細谷は青松に電話をかけた。
「多分ですけど、(青松は)そこまでクヨクヨするタイプじゃないし、ずっと10年近く一緒にやってきたので、きっと次のことも考えているんだろうなって思いますよ」
二人にしか分かり合えない思いがそこにあると感じた。
シーズン中、青松も一軍で活躍する細谷について何度か向こうから筆者に話しかけてきたことがあった。
「細谷、100安打もうすぐっすね…早くクリア出来るといいなあ」
それはまるで弟を思う兄の姿のようだった。
記録をクリアして、すぐに細谷にそのことを伝えた。すると彼は、少し照れ笑いを浮かべながら、すぐに表情を引き締め直してこう言った。
「100安打に到達したら到達したで、間の0が邪魔だなというか少なく感じるんです。110とか120とか間に数字が入ったほうがより充実感を感じる。また、そこに行ったら行ったで次は140…150…と欲は尽きないんでしょうけどね。100安打という一つの目安を超えたら、今度は別の感情が出てくる。この世界、そういうものだと思うんです」
記録は全て過去のこと。
グッズの売り上げだけじゃない。真のロッテの新しい顔になるために。
球団を去る戦友たちの想いを胸に細谷の視線は次へと向いている。