“おかわり2世”西武・山川穂高、持ち前の長打力が開花した背景。2017年は「下位にいると怖いと思われる打者に」【2016年ブレイク選手】
ライオンズはここ数年、レギュラーと控えの力の差が顕著だ。若手の台頭を望む声が上がる中、今季そのきっかけを掴んだ選手がいる。山川穂高だ。
2016/12/19
チーム低迷と主砲の故障でチャンス到来
3年目の今年はキャンプから猛アピール。オープン戦でも結果を出し、存在感を見せつけていた。そして、開幕スタメンを奪取。2016年は山川にとって転機になるはずだった。
しかし、その開幕戦でタイムリーエラーを喫すると打撃面でも、オープン戦ほどの勢いはなくなってしまった。10打席連続無安打で、3月30日に2軍降格。いつしか西武のラインアップはいつものメンバーだけになっていた。
これにはチームが山川をいかに育てていくかの指針が球団にないことも起因しているが、我慢できない首脳陣と、定着できない山川の歯車は序盤まではかみ合っていなかった。
象徴的だったのは6月25日の千葉ロッテマリーンズ戦だった
再昇格を果たしていた山川はこの日、8番でスタメン出場。2回裏には今季初となる3点本塁打を左翼スタンドにぶち込んでいた。開幕のころとは一味違う空気を漂わせていたが、打撃戦となったこの試合は終盤、もつれにもつれた。2点ビハインドの8回裏、無死1、2塁と再び好機で山川を迎えると、田邊徳雄監督(当時)は山川に代打を送ってしまったのである。
この代打策が成功。渡辺直人がきっちりと送りバントを決めて後続のタイムリーで同点。最終的にはサヨナラで勝利をおさめたが、山川が一皮を向けるチャンスは、潰えてしまったのだ。
6月30日に2軍降格、また振り出しに戻ったのだった。
それが幸か不幸か、チームが下位に低迷。さらに主砲・中村の不調も重なって7月30日に1軍再昇格を果たすと、本塁打を量産。8月14日からの1カ月で11本塁打を放つ絶好調で、その存在感をアピールしたのである。
優勝争いから脱落していたチームだったから、首脳陣が多少の起用に将来を見据えてくれた部分もある。しかし、実際は、この歯車こそが人を成長させるために必要なことだったのかもしれない。