優勝からBクラス転落のヤクルト、大きすぎたバーネットの穴。来季の巻き返しには投手陣再建が大前提【2016年通信簿】
球団史上2度目のセリーグ連覇を目指し、「燕進化」の新スローガンを掲げて2016年シーズンに臨んだ東京ヤクルトスワローズ。だが、投手陣の崩壊や思いもよらぬ故障者の続出で、結果はBクラスの5位とほろ苦いものになってしまった……。
2016/12/23
「新・勝利の方程式」構築できず投手陣崩壊
投手1点
「昨年と今年の最も大きな違い──。それはなんといっても投手陣に尽きる」
これは昨年の通信簿における「投手」の項の書き出しだが、今シーズンに関してもまったく同じことが言える。ただし、それは逆の意味で、だ。
なにしろ昨シーズンはリーグ4位の3.31だったチーム防御率は、今季は両リーグワーストの4.73と大幅に悪化。これは最下位に沈んだ2014年の4.62を超え、球団史上ワーストの4.76(1984年)に迫る数字である。深刻だったのは先発陣で、防御率はなんと4.96。チーム全体のQS率も両リーグ最低の41.3%と、先発が序盤から崩れて試合をつくることのできないケースが目立った。
それも突き詰めていくと、「バーネットの不在」に行き着く。高津臣吾投手コーチ(来季から二軍監督)も「そこがすべてと言っていいかもしれない」と話していたが、昨年はリーグ最多タイの41セーブ、失敗わずか1と抜群の安定感を誇ったトニー・バーネットが守護神として控え、その前をオーランド・ロマン、ローガン・オンドルセク、そして秋吉亮らがセットアッパーとして固めていたからこそ、先発は思い切って最初から飛ばしていけたのだ。
バーネットとロマンが退団した今季は、オンドルセクを抑えに回して新たな方程式の構築を模索したものの、これがなかなかハマらなかった。オンドルセクは6月半ばまでに11セーブを挙げたが、首脳陣に暴言を吐くなどして7月に退団。昨年は両リーグNO.1だった救援防御率は、今季はリーグワーストの4.34まで落ち込んだ。それでもシーズン途中から抑えで起用された秋吉が19セーブ、ルーキがリーグ3位の33ホールドを挙げたのは、数少ない光明となった。