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金子千尋が〝援護率〟ダントツの1位――「運」も実力のうち【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回のテーマは、『援護率』だ。どの投手が打線の援護に恵まれているか、もしくは恵まれていないかを測る、一つの指標ともなる。

2015/01/09

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同じチームの先発投手でも、援護率に2点以上の差

 次にセリーグのランキングを見ていこう。
 
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「差異」が最も大きいのは藤浪晋太郎。ライバルと目される大谷翔平が1.50なのに対し、藤浪は2.32。昨年、藤浪は打ちこまれることも多く、特に中盤以降は不安定な投球が目立った。
 しかしそれでも大谷と同じ11勝をしたために「成長している」との評価が一般的だったが、「援護点」に助けられた部分も多い。
 巨人の3人の投手に注目してほしい。杉内の「差異」は2.21、菅野は1.58、これに対し内海は0.38という低さ。同じチームでもこういう差が生まれるのだ。
 
 昨年、内海はオールスター戦まで1勝6敗、「詰めが甘い」「肝心なところで打たれる」と報じられることはあったが、実際のところ「援護点」が少なかったことも負けが込んだ原因の一つだ。
 原辰徳監督はそのことがよくわかっていたようで、8月2日の広島戦で内海が2勝目を挙げたときには、「これまですまなかった」とコメントしている。
 
 阪神の能見、岩田の両左腕も「援護点」が少なかったために、負けが込んだことがわかる。
 
 内海や能見などは特に先発ローテーションの順番から、相手チームのエースとの投げ合いになるので、味方の打線もなかなか点を取りにくい状況が生まれて当然という意見があがるかもしれない。
 しかし昨年の例を簡単にあげると、必ずしもエースにエースを当てているわけではない(杉内は、メッセンジャーと6回対戦)。したがって、それだけを理由にするのは早計だ。
 
 かの大投手、金田正一は「わしが最初から巨人にいたら、もっとたくさん勝てたはずだ」と言ったことがある。
 実際の通算成績は、400勝298敗。私が試算した結果によると、金田が巨人でずっと投げていたら金田は446勝252敗という結果になった。
 ご本人は「何を言うとる、600勝はしたはずだ」と言ったようだが、そこまではいかないまでも、「援護点」によって投手成績は大きく左右される。
 
「防御率」の割に勝ち星が上がっていない投手は「援護点」が少ない。
 このことを頭に入れておくと、野球の見方がより深くなるのではないだろうか。

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