新人王の高梨裕稔、大卒3年目で才能開花。即戦力ではなく『素直さと将来性』を評価した日本ハムの面目躍如【2016年ブレイク選手】
大卒3年目、高梨裕稔にとって2016年は大きな転機となった。シーズン序盤は中継ぎだったが、途中から先発に定着。日本ハムの10年ぶり日本一に大きく貢献した。
2016/12/21
モップアップから先発ローテに定着
僅差を制しての新人王獲得だった。
北海道日本ハムファイターズの大卒3年目、高梨裕稔が2016年シーズン、37試合に登板し10勝2敗3HP防御率2.38の好成績を残し、大きな飛躍を遂げた。
開幕1軍を掲げたシーズンだった。
目標を果たし、開幕当初は中継ぎ。それも任された役回りはモップアップ(勝敗には直結しないが、試合を整理する)が主だった。
しかし、それがシーズンの経過とともに役割が重くなっていく。6月の交流戦についに先発のチャンスをつかむと、6月8日の広島東洋カープ戦で今季初先発初勝利。そこから一つの試合も落とすことなく8連勝でフィニッシュしたのである。
最速150キロのストレートは角度があり、手元でストンと落ちるフォークと要所で挟むカーブが冴えた。圧巻だったのは福岡ソフトバンクホークス戦の成績で、4試合に先発し、3勝を挙げている。6月から7月にかけて日本ハムはソフトバンクを3タテするなど15連勝を飾ったがその輪の中に高梨はいた。
ソフトバンクが無敵だった6月上旬、ソフトバンクの番記者から「フォークが決め球のピッチャーじゃないと、ホークス打線は抑えられない」と聞いたことがあった。そこに高梨がぴったりとはまったわけだ。
新人王とはいえ、大卒3年目の遅咲き受賞。ドラフトも下位指名で、大学時代からさほど注目された投手ではなかっただけに、日本ハムのスカウティング、育成力の高さを見せつける結果になったといって間違いはない。