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“守り勝つ野球”ができなかった2016年のドラゴンズ。キャッチャー・杉山は配球を改善せよ【小田幸平の眼】

球団創立80周年の記念すべき年に、5位と5ゲーム差の最下位に終わった中日ドラゴンズ。谷繁元信監督のシーズン途中の解任に続いて、年明けには落合博満GMの退任も明らかになった。来季に向けて、新たなチームとして生まれ変わるためには何が必要なのか? 2016年の総括と期待の新戦力について、ドラゴンズOBで野球評論家の小田幸平氏に聞いた。

2016/12/22

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ドラゴンズに足りなかったのは「全部」

――小田さんがご覧になって、2016年の(中日)ドラゴンズには何が足りなかったのでしょうか?

小田 全部ですね。あとは、チームが一つにまとまっていなかったことが大きいと思います。誰が良くて、誰が悪いかとかではなく、一致団結していなかったことが大きいです。

――なるほど。戦力面のことでは、小田さんはキャッチャーに関して繰り返し指摘していましたね。

小田 はい。どうしてもキャッチャーのことに触れなければいけません。2016年は杉山選手が104試合に出場して、桂選手、木下選手が続きました。「杉山選手、頑張ったね」という声も多いと思いますが、しょせん6位のキャッチャーは6位のキャッチャーなんです。
100試合以上出場しているようなキャッチャーなら、たとえ打率が1割台でもチームが1位になっていれば非常に評価されると思います。今年、杉山選手は最高に頑張ったと思いますし、ドラゴンズが1位だったら非常に高い評価を受けていたでしょう。来季のキャッチャーは杉山が一番手になると思いますが、レベルアップするだけでなく、思いきって自分自身を変えていく必要もあると思います。

――キャッチャーに関連して投手陣の成績を見てみると、チーム防御率はリーグ4位ですが、先発の防御率はリーグ5位でした。特に先発陣の与四死球が多く、320個とリーグワースト2位。その分、必然的に球数が多くなり、平均投球回数も短かったです。

小田 四球が多かったというのは、キャッチャーの攻め方が慎重になりすぎていたということです。もちろん、ピッチャーのコントロールが悪かったということもありますが、2ボール0ストライクから変化球を要求してカウントを悪くしたり、3ボール1ストライクから変化球が外れて四球になってしまったりというケースが多かった。結果はさまざまなので仕方ないですが、四球になりやすい配球をしていたということです。だからランナーを溜めて、失点につながってしまう。

――キャッチャーの攻め方が鍵を握っていると。

小田 あと、杉山選手は2ストライクが先行しているカウントでボール球を1つ要求することが多かったのですが、僕は現役時代からあまり好きな攻め方ではありませんでした。もう少し大胆でも良かったですね。
 たとえば、変化球にまったくタイミングが合っていない打者を2ストライクで追い込んだとき、外のボールになるストレートで様子を見ることがあります。3球目もスライダーを投げておけば三振するのに、1球外す必要はないんです。打ち取ったとしても、球数が1球多くなりますし、それが積もり積もって早い回での降板につながるんです。

――投手陣の中でもリリーフ陣の防御率はリーグで1位でした。ところがリリーフについた負け数は25で、これは12球団最下位なんです。これはどう捉えればよいのでしょう?

小田 点数が空いているときに抑えている一方、ここ一番のところで抑えきれなかったのでしょうね。これは抑え投手のポジションが決まっていなかったことが大きく関係していると思います。シーズン途中から田島投手が抑えのポジションにつきましたが、それ以外は最後まで決まりませんでしたよね。

――いわゆる“勝ちパターン”が確立できませんでした。来季は勝ちパターンの確立が急務ということですね。

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