「夢の実現をかけた26歳エースの2015年」黒田復帰で、マエケンは大化けするか?
黒田の古巣復帰で、先発陣が充実したカープ。投打がかみ合い、抑えが機能すれば巨人の対抗馬として2015年は面白いシーズンになる。優勝のキーマンは、MLBへ旅立った黒田の後にエースを引き継いだ前田健太だろう。尊敬する大先輩とともに戦う2015年、自身にどんな変化が起きるのか? 夢の実現もかけてマウンドに上がる。
2015/01/11
黒田復帰で、前田がどう化けるのか
2007年のルーキーイヤーで前田は一軍に昇格せず同年オフに黒田が広島からドジャースへ移籍したために両者は1年間だけチームメイトでありながらも事実上のすれ違いだった。
それでも前田は入団当初から黒田を「尊敬する大先輩」として人知れず目標に掲げ、そうした弛みない努力と鍛錬の成果が実って、いまやチームのエースとなり、さらには日本球界を代表する投手にまで成長を遂げた。
「黒田さんからすべてを吸収したい」
敬愛する黒田の復帰を受け、前田は周囲にこう話して心待ちにしているという。
日米で先発の柱として歴史を築いてきたレジェンド右腕はプレーだけでなくメンタル面も含め、その一挙一動がお手本となるに違いない。
黒田と初めて身近に接することで新たな発見や自分に何が足りないかも感じ取れるはずで、メジャー挑戦を前に経験者から説得力十分な実り多きアドバイスも期待できるだろう。 昨季、周辺から何かと苦言を呈された「勝負弱さ」も、うまくはまれば黒田効果によって払拭されるかもしれない。
ただし、逆に2015年シーズンの前田について心配する声もまったくないわけではない。
「今季の前田は黒田の復帰により、チームのエースになって以来初めて自分よりも経験豊富で格上の投手と共存することになる。Wエースとは言っても実績的には黒田のほうがやはり上だから、前田はナンバー2と見られる向きも出てくるだろう。そうなれば今までチームを支えてきた男としては、心中複雑となるかもしれない。そういう初めての境遇において前田の投球は、どういう〝化学反応〟を見せるのか。楽しみが半分、不安も半分…といったところ」とは広島の某大物OBの指摘である。
いずれにしても前田が黒田とともに二枚看板として八面六臂の活躍を果たしチームをVへと導けば、今季終了後のポスティングシステムによるメジャー移籍のシナリオもスムーズに実現することになるだろう。
今はどうしてもレジェンド右腕の広島復帰がクローズアップされがちだが、夢の実現をかけた26歳エースのマウンドにも今季は注目したい。