カブスの上原辞退で混迷の侍JAPANクローザー問題。今季31Sの男を推す理由
来季からメジャーリーグのカブスでプレーをする上原浩治が、来年の3月に開催する第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表を辞退した。侍ジャパンは小久保裕紀監督の体制になってから、クローザーが固定できないという悩みに直面している。しかし、適任者を一人選出していないのではないだろうか?
2016/12/27
メジャーのスカウトも注目したフォーク
2016年の平野は58試合に登板、4勝4敗31セーブ、防御率は1.92という好成績だった。シーズン序盤はエリック・コーディエがクローザーを務めたこともあり、中継ぎとして8ホールドも記録している。
40セーブを挙げチームの優勝争いに貢献するも防御率3.43だった2014年と、怪我に悩まされた2015年は本来の力を発揮できなかったが、今年は「悪いところがない」と本人が言うように、フォームが安定し、必殺のフォークのキレが戻り精度も上がっていた。
平野といえば2016年シーズンで思い起こされるのが6月18日の広島戦(マツダスタジアム)だ。
2点リードの9回裏、鈴木誠也にサヨナラ3ランを浴びてしまい、敗戦投手となった。流行語大賞になった「神ってる」という言葉を生んだ、“あの試合”だ。
しかし、この試合は、鈴木はもちろん、打たれた平野にとってもターニングポイントとなった試合だった。
というのも、この日を境に、平野は目覚めたかのような鬼気迫るピッチングを見せるようになったのである。2016年シーズンは、このあと無敗でわずか4失点しか許していない。防御率を1点下げるなど、安定したピッチングを続けたのだった。
平野といえば、海外FA権を取得した2014年にはメジャースカウトが動向をチェックするなど水面下では獲得の動きがあったほどだ。
186cmの長身から繰り出されるフォークを「メジャーでも通用する球種」と熱視線を送り、“Next Saito”と横浜ベイスターズからロサンゼルス・ドジャースに移籍し、オールスタープレイヤーにもなった斎藤隆クラスと評価する声が少なくなかった。
平野ほどのスプリッターはメジャーでもそう多くいるわけではなく、海外の選手が多く参戦するWBCでは効果的に働くはずだ。平野という“ジョーカー”を忘れてもらっては困る。