MLBの基準なら、ソフトバンク柳田悠岐は2016年もMVPクラス【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は柳田悠岐についてだ。
2016/12/31
Getty Images
日米の選手の評価基準の違い
トラウトと同じMLBの基準で見ると、今季の福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐も実は、パシフィックリーグでMVPクラスの活躍をしているといえる。
柳田は昨年、東京ヤクルトスワローズの山田哲人とともにトリプルスリーを記録した。しかし今季、山田が史上初の2年連続トリプル3を記録したのに対し、柳田は打率以外の2部門でクリアできなかった。
そのために、ベストナインにも選ばれず、不振だったように思われているが、実は主軸打者として優秀な成績を挙げていた。
トラウトと同じ指標で、パリーグのタイトルホルダー、そしてMVPの大谷翔平との打者成績の比較をする。大谷翔平は規定打席未達のため、参考記録とする。
柳田はケガによる離脱があったので、安打数、本塁打数、打点は10位以下。しかし得点と四球数は1位だ。
首位打者角中勝也は打率、安打数は1位も、長距離打者ではないので本塁打、打点は低い。
本塁打王ブランドン・レアードは、打点が多いが、四球は少ない。早打ちで選球眼は良くなかった。
打点王中田翔は、本塁打は25本だったが、打率は悪かった。大谷翔平は、規定打席に達していなかったので、積み上げ型の数字は低かった。
率の数字を見ると、評価がはっきりしてくる。柳田は打率5位、出塁率、長打率もトップ。当然ながらOPSも1位。
他の3人のタイトルホルダーよりも傑出していることになる。
大谷翔平は、柳田よりも率の数字はいいが、規定打席に達していない。
MLBの基準では、柳田悠岐が、2年連続でMVPに選ばれてもおかしくないのだ。
もちろん、大谷翔平は打者成績に加え、投手としても優秀な成績を上げている。総合評価でMVPを受賞したのは妥当だ。しかし柳田も有力候補だったはずだ。にもかかわらずMVPはおろか、ベストナインにさえ選ばれていない。
日米の選手の評価基準の違いが、くっきりと表れている。
昨年ほどではないにせよ、今季の柳田悠岐は、チームに大いに貢献していた。そのことをはっきり言っておきたい。