神宮の芝生張り替えは、真中スワローズへの〝追い風〟となるか?
昨年は投打の極端なアンバランスが響いて2年連続の最下位に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。今年から指揮をとる真中満新監督はそのバランス是正、すなわち投手を中心としたディフェンスを強化することで、巻き返しを目指している。その一環として、オフにはFAで成瀬善久と大引啓次を獲得したが、今年のヤクルトにはさらなる追い風が吹きそうだ。
2015/01/11
芝の張り替えは「チームにとって間違いなくプラス」
聞けば芝の張り替えは、前々から選手会で要望していたことだったという。前回の張り替えから7年。プロ野球のみならず、春と秋には東京六大学と東都大学のリーグ戦、夏には高校野球の東京都予選の舞台にもなる神宮の使用頻度は、他の球場と比べて格段に高い。多いときには1日に3試合も行われれば、芝が傷むのも必然的に早くなる。
その選手が話していたように、バッターは恩恵を受けるかもしれない。一方でピッチャーからしてみれば、打ち取ったと思ったゴロが野手の間を抜けてヒットになることも多い。荒れた芝で打球がイレギュラーすることもあり、野手泣かせだったのも事実だ。
今年3月のプロ野球開幕に向け、神宮球場の芝を新開発の人工芝に張り替えると正式に発表されたのは、昨年12月のことだった。新たに導入されるのは、これまでと同じ住友ゴム工業製の「ハイブリッドターフEXCITING」。材料や形状をイチから見直し、異なる2種類の芝葉を織り交ぜたこの新製品は、ゴムチップと目砂からなる充填剤の配合を改良することでボールのバウンドを天然芝に近づけ、耐久性においても従来の製品と比べて2倍以上向上しているという。
新人工芝の導入を、選手も歓迎している。昨年、規定打席以上のシーズンでは自身初の打率3割をマークした川端は「チームにとっては間違いなくプラスになると思います。バッターは打率が落ちるかもしれないですけど、ピッチャーは良くなりますよ。エラーも確実に減ると思いますね」と、打者としてのデメリットよりも、チームとして勝つためのメリットを強調する。
プラスの要素は芝の張り替えだけではない。投手陣のリーダー、石川雅規は昨オフの契約更改の際、こんな話をしている。
「(神宮の)マウンドについて、僕ら投手陣の意見を聞いていろんなタイプを試させてくれるという話だったので、そこは楽しみです。ピッチャー陣の意見としては高くて硬めのマウンドがいいっていう声が多かったので、たぶんそうしてくれると思うんですけど」
芝の張り替え、そしてマウンドの改修──。成瀬、大引のFA補強に加え、施設面の改善という〝追い風〟を受け、新生・真中スワローズはどん底から頂点に向けて一気に羽ばたくことができるだろうか。