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日本ハム強さの根源。2017年も不変、「スカウティングと育成で勝つ!」企業理念

昨年、10年ぶりの日本一を成し遂げた北海道日本ハムファイターズ。その強さの源はブレない人材獲得と育成術にある。2017年もどんな若手選手が台頭してくるのか、興味深い。

2017/01/09

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西川遥輝にみえた、人間的な爆発力

 性格面についても同様だ。
 一般的にやんちゃであるとか、ファイトしない、チームメイトから嫌われている、一生懸命さが足りないのがみえる選手であっても、真相を探ることで成長する要素だとプラスに捉えることが往々にしてあるそうだ。

 昨季、初のベストナインに輝いた西川遥輝はいい例だ。

 智辯和歌山高校時代の西川の評判は野球だけに限ると、群を抜いていた。1年春から公式戦にデビューし、いきなり4試合連続本塁打。その後の夏の甲子園にデビューして派手な活躍を見せた。以後3度の甲子園に出場した。

 左右に打ち分けるバットコントロール。臆することのない先を狙う走塁、スローイングで魅せる肩、大舞台に強いメンタル……、スカウトに存在をマークされる選手の一人だった。

 しかし、彼のパフォーマンスは学年を経ていくごとに、欠点をさらけ出したのも事実だった。
 いまでは信じられないが、凡打をすれば、手を抜くなど全力疾走をする選手ではなかった。ある在阪のスカウトが「ここまで野球を嘗めているやつは初めて見た」という声が挙がるほどだった。

 そんな西川を日本ハムは2位指名。そして、入団2年目から起用し、2014年に最多盗塁のタイトル、昨季はベストナインに輝くなどの選手に育て上げたのである。

 日本ハムは西川に何を見たのか。

 大渕氏は言う。

「爆発力です。高校生は常時、持っている力を出せない。しかし、一瞬、一瞬にとてつもないプレーしたりする。選手個々が抱えている何か鬱屈したものというのは、人としてのパワーにもなると個人的に思っているんです。全力疾走しないなどよくない噂も耳に入ってきましたけど、西川には爆発するものがあるように感じたんです」

 昨季の日本シリーズ第5戦でのサヨナラ満塁本塁打を覚えているファンも多いはずだ。あの爆発力こそ、日本ハムのスカウトが見抜いた西川の凡人離れした個性だった。

 もっとも、大渕氏らスカウトだけの力で西川がこれほどの選手に仕立て上がったのではない。ファームや彼らを育成するコーチの存在があり、失敗を経験させながら我慢強い起用を続けたトップチームの監督の存在がいてこそだ。

 日本ハムはファームのコーチ陣に日報を義務付けている。
 選手にどのような指導をしたのか、どのような成長を見せているのか。指導した人物だけで解決するのではなく、チームとしてその行方を見守っている。

 組織としての一体感こそが、日本ハムの強さたるゆえんだろう。

 かつて、大渕が語っていた印象深い言葉がある。
 高校卒業と同時にメジャー挑戦を希望していた大谷翔平を口説き落とした時の話の中ででてきた言葉だ。

「偶然ではなく、選手の資質だけで収めてしまってはいけない。大谷翔平が生まれたのは、いろんな人が組み合わさったシステムの中で生まれた選手、育成された選手だったというようにしなければいけない」

 日本ハムの企業理念が形になって10年が経った。
 2017年もまた、チームは一つの方を向いて日本一を目指す。

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