鷲の新たな顔に 松井稼頭央を継ぐ遊撃手、西田哲朗が乗り越えるべき3つのハードル
今季、球団創設11年目を迎える楽天。大久保新監督の下で新たな船出となる。そこで期待したい選手が西田哲朗だ。昨年、松井稼頭央からポジションを奪う形で西田がショートに。飛躍のきっかけとなる1年となった。その西田には鷲の主砲として、内野の要として乗り越えるべき3つのハードルがある。
2015/01/15
苦手球種の克服、守備力向上も西田の課題
2.スライダー打ちの習得なるか
苦手球種の克服も必要だ。
安定した打撃成績を叩き出すには、投手が打者に最も多く投げてくる速球で好成績を収めることが大前提。その上で、投手が速球の次に多く投げるスライダーやカットボールなど、曲がる球種への対応がカギを握る。ここで数字を作ることができれば、トータルでも打率3割が近づいてくる。
昨年の西田は大前提の速球で打率3割を記録。ファストボールには対応力を見せた(ただし、145キロ以上速球には課題を残した)。一方、曲がる球種に対しては、2割を切る低打率に終わった。調べてみると、右投手のスライダーに対してバットを出しにいったスイング数の約40%で空振り。右投手対戦時の三振80個の約半数はスライダーで喫したことが判明した。右打ちの西田から逃げていく曲がる球種の見極め、コンタクト能力の改善が要求されている。
3.遊撃守備力のさらなる向上を
上表のとおり、松井稼コンバート&西田ショート抜擢の守備変更案は、成功と言えそうだ。松井稼の遊撃守備率はリーグ平均.979より低い.957。西田は松井稼を上回り、平均値に肉迫する.975だ。守備範囲の広さを診るRF(レンジファクター)の数値でも、西田は松井稼の3.69を大きく超過する4.26を記録した。
投手力前提の守り勝つ野球をベースにする楽天において、センターラインの強化は永遠のテーマだ。その意味でも松井稼コンバート&西田遊撃抜擢は一定の成果を収めた。
ただし、遊撃RFのリーグ平均値は4.55。西田はそれに及ばずであったことを考えると、当然、遊撃の守備力も伸びしろの余地が十分にあるわけだ。同年で誕生日が2カ月しか違わないソフトバンク・今宮が2年連続でゴールデングラブを受賞しているのも、発奮材料にしてほしい。
楽天の次なる10年の第一歩となる今シーズン。
私は以上の3点に留意しながら西田の飛躍を楽しみに見届けたいと思っている。