待望の「素材型」エース候補。阪神・望月は金本&掛布両監督の期待に応えられるか【2017年ブレイク期待の選手】
これまでの阪神にはあまりいなかった「本格派のエース候補」。急成長を遂げた2年目右腕・望月惇志の今季は要注目だ。
2017/02/02
1、2軍指揮官が求める素材
金本知憲政権2年目のスローガンは「挑む」。昨季の「超変革」が若手の積極起用、世代交代の1年だとすれば、今季は昨季まいた種が芽を出す1年と位置づけできる。
とはいえ、超変革そのものも完結したわけではない。2005年以来、11年間遠ざかっている優勝を目指すには、今季も引き続き新たな戦力の台頭が不可欠だ。
筆者は以前、解説者時代の金本、ゼネラルマネージャー付育成&打撃コーディネーター(DC)時代の掛布雅之と、昨季から1、2軍の指揮を執る二人にインタビューを行ったことがある。
取材場所も、時期も違ったが、この二人は奇しくも当時の阪神育成事情について同じようなイメージを持っていた。それが「2軍にいる選手がほとんど『同じようなタイプ』の選手である」という点。
細かなニュアンスは違ったが、簡潔にいうと野手は「守備が上手く、ミート力が高く、足が速く、右打ちや犠打などもこなせる」、投手は「オーソドックスなフォームで球種は直球、スライダー、カーブ、フォーク。制球力があり牽制やフィールディングもそつなくこなす」という選手が当時の2軍では大半を占めていたという。要は、1軍で比較的早めに起用できそうで、なおかつある程度「計算」の立つ選手だ。
これは、決して悪いことではない。1軍で戦う上、世代交代を行う上で若くて計算できる選手が多いのは非常に頼もしい。しかしその一方、金本、掛布の二人がともに危惧していたのが「チームの核になれそうな選手が見当たらない」というものだった。
まとまりのある選手は確かに成長曲線がある程度予測できるし、1軍で大崩れすることもない。しかし逆に、いわゆる「超一流」と呼ばれる選手に大化けする可能性も低い。