巨人のマイコラスは活躍の可能性大! 新外国人投手を占うポイントは、マイナーでのBB9とSO9【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、2015年から12球団の加入した新外国人投手の品定めだ。
2015/01/16
外国人先発投手は、与四球数に注目
NPBにやってきた外国人選手は1100人近く。
NPBで1試合でも出場した選手は6500人前後だから、6人に1人強が外国人選手。NPBにとって外国人選手は不可欠な存在だ。
昭和の時代、外国人選手の支配下登録は1球団2人という制限があったが、今は撤廃された。現在、外国人選手の出場選手登録(1軍)は4人、ただし投手、野手の最大は3人となっている。
すべての球団が4人以上の外国人を抱える時代になっているのだ。
毎年、春先には新外国人の陣容が整う。メディアは「大リーグで何勝、何本塁打」と実績を書き立て前景気をあおる。
しかし、ふたを開けてみるとさっぱりの選手がいたり、意外に活躍する選手がいたり、その予測は難しい。
私は毎年、新外国人選手のデータを集めてきた。そしてある程度の予測を立てることができるようになった。
今週と来週は、新外国人選手の「品定め」をしてみたい。まずは投手からだ。
「品定め」の資料として、過去の実績を振り返る。
21世紀に入ってから、NPBで成功している外国人選手のMLB、そしてマイナーの成績を並べてみる。
まず先発投手だ。年齢はNPB球団に入団時の年齢。SO9は9回あたりの奪三振数、BB9は9回あたりの与四球数となる。
来日時の平均年齢は29.6歳。それなりに経験を積んだ投手がやってくる。
NPBにやってくる外国人選手の大部分は、MLBで生き残ることができなかった選手だ。だからMLBの成績を見て判断するのは難しい。そもそも出場機会が限られているし、そこで失敗しているから成績は非常に悪い。
メディアは「MLBで何勝」と書き立てる一方、「防御率何点台」とは言わない。目も当てられないような数字の選手が多いからだ。
ほとんどの外国人投手は、MLBの成績では何もわからないのだ。
この表の中では唯一、広島で投げたコルビー・ルイスだけがMLBで実績を上げている。NPB時代の成績もさすがに優秀だ。特に奪三振369に対し与四球球46は驚異的。ルイスは昨年、ダルビッシュの同僚としてレンジャーズのローテーションを守った。こういう投手がNPBに来ることは滅多にない。
他の投手はMLBではなく、マイナーリーグの成績を参照すべきだ。
すべての投手が、マイナーではそれなりの成績を上げている。防御率がNPB時代よりも悪いのは、マイナーリーグが総じて打高投低で本塁打がよく出るからだ。
注目すべきはBB9=9回あたりの与四球数だ。
日米問わず、投手のほとんどは四球から崩れる。BB9が高い選手は、成功する可能性が低い。
NPBで成功した投手の多くはBB9が2点台だ。もともと制球力がある投手がNPBでも成功する。面白いのは、ほとんどの投手がマイナー時代よりもNPB時代のほうが、BB9は向上していることだ。
これは、NPBの球団に入団して投手コーチの指導を受けることが大きいと言われる。
アメリカではメジャーでもマイナーでも投手のフォームをコーチがいじることはあまりない。バランスの悪いフォームのままで投げ続ける投手も多いのだ。
NPBに来て、初めてフォームを矯正され、制球力が向上する投手が結構いるようだ。
また、NPBの打者はアメリカの打者よりも振り回さないので、積極的にストライクを取りにいけることも大きい。