なぜ日本には絶対的クローザーがいないのか。“勝利の方程式”と“タフさ重視”の是非【小宮山悟の眼】
WBCでの侍ジャパン。1つの争点になりそうなのがクローザーだ。一体誰を起用するのが最適なのか議論があるが、そもそもの問題として、日本プロ野球には絶対的なクローザーの不在がある。その原因は何か。
2017/02/01
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WBCで注目点の1つ。クローザー問題
3月に開催されるWBCに出場する侍JAPANのメンバーが発表された。注目の投手陣の顔ぶれは以下の13名だ。
【投手陣】
増井浩俊(日本ハム)、牧田和久(西武)、宮西尚生(日本ハム)、秋吉亮(ヤクルト)、菅野智之(巨人)、則本昂大(楽天)、大谷翔平(日本ハム)、石川歩(ロッテ)、千賀滉大(ソフトバンク)、藤浪晋太郎(阪神)、岡田俊哉(中日)、松井裕樹(楽天)、平野佳寿(オリックス)
(編集部注:取材後、大谷はWBCでの投手起用が難しい状況であることが明らかになった)
投手陣の起用に関し、ファン、メディアの関心は、誰がクローザーを務めるかに集まっているそうだ。一昨年行われたプレミア12準決勝韓国戦で、侍JAPANは9回に大逆転を許し苦杯を喫した。試合を締めくくる大事なポジションに、小久保監督はどの投手を抜擢するのか。注目が集まるのもうなずける。
個人的には今季からシカゴ・カブスでプレーする上原浩治が適任だと思っていたので、彼の辞退はなんとも残念なニュースだった。
なぜ、クローザーの起用法が俎上に載るかといえば、現在の日本球界に絶対的といえる日本人クローザーが不在だからだろう。かつての大魔神・佐々木のような、何年も活躍し続けるクローザーが誕生しないのはどうしてなのか。今回は、クローザーについて語ってみたいと思う。
クローザーをはじめ、セットアッパーを含めたブルペン陣が、先発陣に比べて疲弊しやすいポジションであることは確かだ。力量のある投手を先発で起用する先発偏重主義という理由があるにせよ、10年近く活躍し続けるようなブルペン投手の数は、同じ期間だけローテーションを守り続ける先発投手に比べて明らかに少ない。その傾向はメジャーリーグでも同様だ。
ただ、そのメジャーリーグと比べても、日本プロ球界では長年結果を出し続けるセットアッパーやクローザーの絶対数が少ない。リーグの大小を考慮しても、その割合は低すぎるだろう。
理由はどこにあるのか。