「一歩進むな。半歩遅れるな」岩下大輝、勝負の3年目。名伯楽から授かった金言【マリーンズファーム通信#33】
プロ3年目を迎える岩下大輝。長いリハビリ生活を経て、ようやくプロ野球選手として第一歩を踏み出した。
2017/02/04
千葉ロッテマリーンズ
キャンプで自分の形をつくる
岩下が宮崎でのフェニックスリーグ参加中にロッテ浦和球場に残留をしている小谷コーチがマリーンズを退団することを知った。直接、顔を合わせて感謝の想いを伝えたかったが、その後は千葉県鴨川市でのキャンプに参加。時間が流れた。ただ、浦和球場にいたファンに、師は最後のメッセージを託していた。キャンプ中、ファンから色紙を手渡された。それは今季限りでマリーンズを退団することになった小谷正勝二軍投手コーチの直筆メッセージ入りの色紙だった。そこには「岩下君へ。一歩進むな。半歩遅れるな」と書かれていた。
「感動しました。嬉しかったです。自分のことをこんなに見てくれていて、気にかけて頂いたのかと思うと、オレ、頑張らないといけないなあと痛感しました」
そんな恩師のメッセージの書かれた色紙はロッテ浦和寮の自室に飾ってある。これからも時には焦ったり、壁にぶつかり落ち込んだりすることもあるだろう。そういう時はこの色紙を見て、自分を見つめ直そうと決めている。
「キャンプはあくまでスタート。シーズンを通して投げないと意味がない。まずは二軍で沢山投げて一軍入りの争いに入らないとダメ。そのためにはしっかりと自分の形をこのキャンプで作って、それを1年通して行いたいと思います」
一昨年の秋キャンプは病室のベッドの上にいた。昨年の春キャンプはひたすら陸上競技場で過ごした。今は投げることができる幸せを感じ、毎日、トレーニングに励む充実した日々を送っている。「一歩進むな。半歩遅れるな、なんですよ」。岩下はそう言って笑った。見つめる視線の先にはハッキリと将来の夢や目標が見えているような気がした。そしてそこにたどり着くまでの道筋もしっかりと決めている。大きな苦難を乗り越えてマウンドに戻ってきた若者が輝いて見える。