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球数論争から4年、楽天・安樂が追及する質。ニュースタイルで挑む3年目【2017年ブレイク期待の選手】

今季3年目を迎える楽天の安樂。234球を投げ、登板過多による投球論争を呼んだ高校時代には、球速にも注目が集まっていた。プロ入り後は、球団による慎重な起用法により、通算16試合の登板にとどまっているが、今季は飛躍の気配を感じさせている。その要因には、球速ではなくストレートの質を追い求めた姿勢があった。

2017/02/12

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球速よりも“質”

 かつて甲子園を沸かせた剛球右腕がモデルチェンジを図ろうとしている。
 
 高卒3年目となる安樂智大投手は最速157キロもあった球速を捨て、新境地で2017年シーズンに挑む。
 
 安樂が目指しているのは、いわゆる質の高いストレートだ。
 
 実は昨シーズンもすでに、そこへの取り組みを始めていて、かつてのような力みかえって剛速球を投げ込むというタイプではなくなっている。
 
 昨春のキャンプでは、跳び箱のロイター版を使ったシャドウピッチングに励む安樂の姿があった。大事になってくるのは下半身を中心とした体重移動で、上体の力に頼らずとも投げる術を習得しようとしていたのである。
 
 上半身に力を入れた力感たっぷりの157キロのストレートではなく、140キロでも打者の体感では速く見せるストレートを投げる。昨季は3勝を挙げ、新しい階段を順調に昇りはじめている。
 
 とはいえ、一言でモデルチェンジといっても、よく決断したなというのが筆者の印象だ。
 少なくとも高校時代の安樂は周囲の声に反発して挑んでいくタイプだっただけに、なおさらそう思えた。
 
 思い起こすのは2年生のときにエースとして迎えた春のセンバツでのことだ。
 
 2回戦の広陵戦では延長13回を一人で投げ抜き、234球の熱投を演じた。このときの投球数は、日米メディアを巻き込んでの大論争となったが、「投げすぎ」と指摘された安樂には、世間のそうした声に立ち向かっていく気概さえ感じるものがあった。
 
 続く3回戦でも安樂は一人で投げ切っている。
 それも試合終盤に右手に打球を受けるというアクシデントがあったにも関わらず、完投したのである。アクシデント以降、安樂が投げる球は威力を増したくらいだ。
 
 世間の声を黙らせてやる―――。
 当時の安樂の登板過多について筆者は猛烈に反対ではあったが、彼の姿勢はむしろ恐れ入るものがあった。

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