球数論争から4年、楽天・安樂が追及する質。ニュースタイルで挑む3年目【2017年ブレイク期待の選手】
今季3年目を迎える楽天の安樂。234球を投げ、登板過多による投球論争を呼んだ高校時代には、球速にも注目が集まっていた。プロ入り後は、球団による慎重な起用法により、通算16試合の登板にとどまっているが、今季は飛躍の気配を感じさせている。その要因には、球速ではなくストレートの質を追い求めた姿勢があった。
2017/02/12
身体を痛めないか危惧
この大会で安樂は決勝戦で敗れたが、その試合では疲労から足がもつれ、ベースカバーにさえ行くことが出来なかった。それでも、当時の指揮官・上甲正典監督(故人)から交代を通達された時は、一度、断っている。彼の内に眠るファイティングスピリットは凡人のそれではない。
同年夏の甲子園にも出場。安樂は球数論争と戦いながらも、ドラフト1位という称号を得てプロ入りを果たした。
とはいえ、危惧もあった。世間の声に立ち向かっていこうとする安樂の性格が、また彼の身体を痛めてしまうという危険性だ。
しかし、昨季から楽天のピッチングコーチを務めている与田剛氏は、そんな安樂を大事に使った。先述した体重移動の練習も与田による指南だと聞いたが、それは安樂の将来像を考えてのことだろう。
1年目は試合の1試合登板(1勝)、2年目の昨季は15試合登板に抑えている。
楽天の首脳陣はデリケートに安樂を扱っているといえる。
その中で、今季を迎えるのである。
昨年までと違って、おそらく投球への制限もなくなるはずだ。
一方で、安樂自身も先発投手としての責任を果たすべく、初回から力投していくスタイルでは生き残っていけないとさらなる成長を目指している。
過去2チームで2年目に優勝を果たしてきた梨田昌孝監督は、今季、本気で優勝を狙っているだろう。FA移籍の岸孝之投手や細川亨捕手の獲得はその意思の表れだろう。則本昂大と岸でダブルエースを形成し、さらに、この男が加わってくれれば、これほど心強いことはない。
球数論争から4年―――。
紆余曲折を経て、安樂はニュースタイルで2017年を駆け抜ける。