侍J、致命的な左腕不在問題。先発タイプは右腕のみ、見えぬ小久保監督の戦い方
WBCに挑む侍ジャパンのメンバーが決まった。投手陣を見ると、大きな不安要素が浮かんでくる。先発タイプに左腕がまったくいないのだ。WBCは球数制限があり、第2先発がカギを握ると言っても過言ではないが、果たして右腕ばかりで厳しい戦いを勝ち抜けるだろうか。小久保監督がどのように戦おうとしているのか、疑問が残る。
2017/02/10
数少ないサウスポーすら生きない可能性
簡単に想像がつくと思うが、スターターに左腕投手がいないことの不安は相手打線が迷いもなく左打者を並べられるということだ。
例えば、先発が濃厚な石川歩(ロッテ)はシンカーの使い手だが、11月の強化試合ではWBC専用球のボールが抜けて普通の右投手だった。その石川に対し、左打者を並べることが可能になる。第2先発にサウスポーがいないのだから、それを恐れる必要がなくなるからである。
今回のメンバーのうち、サウスポーは宮西尚生(日本ハム)、松井裕樹(楽天)、岡田俊哉(中日)の3人だ。前二人は勝負所の起用になるだろう。
早い回に登板があるとすれば、岡田になる。ただ、昨年11月の岡田の起用を見る限りでは、ファーストチョイスではない。先発投手が炎上した際の登板はあっても、延長戦のもつれた場合の緊急事態要因としての意味合いが強い。
そうなると、試合の早い回で、サウスポーが登板することがないということになるのだ。
さらに、第1・2先発にサウスポーがいないことの影響は宮西、松井にも影響する。
先発に左腕がいないために相手打線が左打者を並べてきたとすると、相手ベンチには右打者が控えていることになる。
つまり、宮西・松井を試合終盤の勝負所で起用したとしても、意味をなさなくなるかもしれないのだ。
戦う以前に、サウスポーが早いイニングから登板する可能性をにおわせ、左打者を並べさせない。そうすることで、勝負所で投入する宮西たちが生きるのだ。いまのメンバー構成だと、ジョーカーすら使えないかもしれない。
小久保監督は、対戦相手の出方を気にする指揮官ではない。名だたるメンバーを揃えて立ち向かうことに意義を見出すタイプで、いい意味では大らかで、リスクマネジメントは考えない。