「再起のカギはバッティングより脚にあり」セイバーメトリクスから考える、坂口智隆復活の可能性
2012年に負った右肩の怪我以降打撃が低迷し、昨年も好調なチームにおいて蚊帳の外になってしまったかつての核弾頭、坂口智隆。そんな彼の復活の可能性をセイバーメトリクスの観点から探ってみた。
2015/01/19
脚がどこまで復調するかで、数字は変動する
打率の低迷は、BABIPの急落に原因を求めることができる。
BABIPとはインプレー打球が安打になった割合で、投手は長い目で見れば3割前後、野手は投手ほどではないにしても一定の数字に収まることが多い。つまりある年に異常に高いBABIPが元になり好(低)成績を残した選手は、翌年の成績下降(上昇)が予想される。
坂口のBABIPは自己通算の.315に対し今年は.268、昨年も.254と低い数字が出ている。ここまで大幅な下落には運の要素も絡んでいる可能性が高く、15年は揺り戻しによる打率アップが期待できる。
自己最高打率.317を残した09年の.365まではいかなくとも自己通算の.315前後まで戻れば打率も.280前後まで戻るのではないかと予想できる。
ただここには一つ問題点がある。BABIPの下降に脚の衰えが影響していた場合だ。
来年開幕時で30歳とまだ老け込むような年齢ではないが、12年からの故障続きの現状を見ると、脚のほうに何らかの影響が出ている可能性も否定できない。
数字を見ても08~12年において14.7%を記録した内野安打率は11.8%(13年は8%)、09年には20あった盗塁企画数も5と大幅に低下。一塁到達速度も4秒台にまで下降するなど衰えを裏付けるものがでている。
全盛期は一塁到達速度3.71秒、内野安打率14.7%と俊足を生かして安打を量産してきた選手であり、この状態が今後も続くようだと打率アップの幅は予想を下回るばかりか、俊足好打を売りにする選手としては価値を問われる事態になりかねない。
BABIPが戻ると考えれば予想打率は.280前後、14年並みの選球眼がキープできれば出塁率.370、OPS.720前後となり中軸打者こそ充実したもののテーブルセッター役に不安のある今のオリックスなら左翼のレギュラーを狙えるだろう。1番打者としても十分に合格点の数字だ。
しかし脚の状態が14年並みのようなら守備には明確に衰えが見られる今、常時出場すら難しいと言わざるをえない。再起の鍵はバッティングより脚にある。