正捕手は大野――。侍J“扇の要”となるか? 打者としての存在価値も高める「つなぎ力」
今回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する侍ジャパンの捕手は、東北楽天ゴールデンイーグルスの嶋基宏、北海道日本ハムファイターズの大野奨太、そして読売ジャイアンツの小林誠司の3人。打撃面で嶋が優位かと思われていたが、キャンプでのバッティングから現在最も正捕手に近い存在となっているようだ。
2017/02/23
「打撃のつなぎ」を優先すると嶋が優位
WBC日本代表の合宿が23日から宮崎県で始まった。
前回大会の時とは違って、代表選手が決定しているから「サバイバル」と呼ぶには程遠い合宿となるが、そんな中にあっても、し烈なレギュラー争いがないわけでもない。
特に、レギュラーが完全に決まっていないのが、扇の要と言われる正捕手だ。
2015年の11月に行われた「世界野球WBSCプレミア12」では、東北楽天ゴールデンイーグルスの嶋基宏や埼玉西武ライオンズ炭谷銀仁朗が務めたが、嶋は昨季ケガなどで戦列を離れ、炭谷は今回のWBCメンバーから漏れた。昨秋の強化試合では北海道日本ハムファイターズの大野奨太が初召集され、今回も代表入りを果たしたが、果たして誰が正捕手を務めるかは注目だ。
一つの考え方として、相性の良いバッテリー同士、いわば、所属チーム同士が組むというのも手だろう。菅野智之投手なら小林、則本昂大投手の場合は嶋、増井浩俊投手なら大野といった具合だ。
とはいえ、それ以外の投手の場合の組み合わせも考えないといけないので、一番頼りになる捕手が誰であるかを決めなければならない。守備力では、スローイングにおいて小林が圧倒的に二人をリードしているが、キャッチングと投手に与える安心感を考えると大野、打撃面でつなぎを優先するなら嶋であろう。
そう思っていたところ、春季キャンプを見ていると、大野のバッティングに目を奪われた。
とにかく、右方向への打球が際立っている。
小久保裕紀監督が実際に、日本ハムのキャンプ地を視察に訪れた14日の紅白戦で右方向へ2安打を放つと、続く三星ライオンズとの練習試合でも安打をマークして快音を響かせた。紅白戦の2安打を見た小久保監督も「今日は大野がアリゾナキャンプに行っていたので、彼の状態が気になっていた。今日のような右方向へのつなぎのバッティングを本番で見せてくれれば申し分ない」と話したほどだ。
紅白戦は相手がチームメイトだから打てたものだとも思ったが、練習を繰り返し見ていると大野自身の取り組みに一過性のものではないしっかりとして意欲が感じられた。ただ来た球を打っているのではなく、自身の中にバッティングの核を作ろうとしている取り組みが感じられたのだ。