呉念庭が西武・長年の弱点を埋める。狙う正遊撃手の座、コーチ陣も絶賛の“野球センス”【2017年ブレイク期待の選手】
昨季、8月の中旬以降は遊撃手でスタメン出場していた埼玉西武ライオンズの呉念庭内野手。台湾のプロ野球チームで現在、監督を務めている父を持つ呉は、父親譲りの野球センスでチーム内でも絶賛されている。
2017/02/26
2軍で月間MVP獲得
「ウーイング」をご存知だろうか。
ライオンズファンは昨季途中から、打席に入った背番号『39』に向けて、スタンドから「ウー、ウー」という “ウーイング”を、声援として送るようになった。その打者「呉念庭(ウー・ネンティン)」の名前にちなんでのことである。
応援歌もそうだが、こうした、選手独自の応援スタイルが作られるのは、ファンに「一選手」「一戦力」と認められた証だ。2年目の今季は、さらなる台頭が期待される。
2015年に西武からドラフト7位で指名され、第一工業大から入団。高知・春野でのB班キャンプでは、ある西武の先輩選手が「めちゃくちゃバッティングが良い。下手したら、今年中にショートのレギュラーを獲ってしまうかもしれないぐらい」と、大絶賛されるなど、2軍での評価は急上昇していった。
シーズンに入ると、「しなりのある、柔らかいスイングから、強い打球が打てる。下半身の捻り方も上手く、実戦の投手に対して通用するスイングが、入ってきた時点でできている(打撃コーチ)」「懐が深く、ハンドリングが柔らかい(守備・走塁コーチ)」「間も良いし、スチールを切る、切らないの判断が素晴らしい(守備・走塁コーチ)」など、走攻守とも、各担当コーチ陣が、そのポテンシャルの高さに惜しみない賛辞を送った。
練習や試合経験を積むごとに、教えたことをみるみる吸収し、プレーで成長を見せてくれる可能性豊かな台湾人内野手に、首脳陣たちは「試合で使って、もっともっと、いろんなことをやらせたい」と、育成意欲をかき立てられた。
一方、呉本人は、イースタン・リーグが開幕してしばらくの間は、自身が売りとする打撃で成績が出ず、もどかしさを感じていた。そこで、次のような対策をするようになった。
「動画サイトなどで、次の試合で対戦する投手の、左打者への配球を見て、球種は何があるのか、決め球、インとアウトの割合を見て、何を狙うかを決めるようになりました」
この“予習・研究”を始めたことで、みるみる才能が開眼。プロ投手のレベル、環境に慣れてきたこともあり、徐々に結果が出るようになると、6月には、16試合に出場し、22安打、1本塁打、9打点、8盗塁、打率.400、出塁率.507の大活躍を見せ、6月度のイースタン・リーグ月間MVPを受賞した。