90年代のドラゴンズを代表する強打者・大豊泰昭 豪快さと脆さを持ち合わせた「大砲」
大豊泰昭氏が先日51歳の若さで亡くなった。90年代のドラゴンズを代表するスラッガーだった。
2015/01/24
台湾スカウトとしてチェンを発掘
豪快だけど、なんだか繊細で脆い、というプレースタイルは、漏れ伝わってくる大豊さんの人柄のようでもある。
可愛がられて、突き放された星野元監督のことを最後まで慕い続けたのも大豊さんの人柄の良さを表していると思う。真面目で、とにかく練習熱心ということがよく知られている。イチローとは気が合い、晩年まで年に数回食事をするほどの交流を持っていた。
現役引退後は、名古屋市内で「大豊飯店」という台湾料理店を開いていた。名古屋ではアオキーズ・ピザのCMでタイロン・ウッズ、ドアラと共演したりもしていた。名古屋では掛け値なく有名人だった。台湾スカウトとして、チェン・ウェインを発掘したのも大豊さんの功績だ。「大豊飯店」にはチェン初勝利の新聞記事が額に入れられて飾ってあったという。
その後、名古屋人が大好きな岐阜県のお千代保稲荷で「大豊ちゃん」を営んだ。動画サイトなどで、店頭に立つ大豊さんの姿を見ることができる。お店は今でも営業中のようだ。もはや店主はいないけれど、いつか足を運んでみたい。
ドラゴンズファンで友人の放送作家、チャッピー加藤さんが「大豊飯店」を訪れた際の写真を見せてくれた。そこには、大豊さん直筆の書が飾られていた。その内容を記しておく。
あなた
人は苦しい時 誰を呼ぶ
人は淋しい時 誰を想う
人は悲しい時 誰と悲しむ
人は嬉しい時 誰と分かちあう
人は樂しい時 誰と樂しむ
人はいろんな立場で
いろんな環境で
その人を呼ぶ
その人……
そう、あ・な・た
平成十四年夏 中日ドラゴンズ大豊泰昭
いかにも人好きな大豊さんらしい言葉である。悲しくなってきたので、このあたりで筆を措きたい。