高津氏が改革したブルペンの肩作り。“日本流”の是非、侍J救援陣はいかに疲労を軽減すべきか
侍ジャパンの2017ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)初戦まであと5日。今回、侍スタッフにブルペンコーチは置かれておらず、村田善則バッテリーコーチが兼任する。ナショナルチームのスタッフは、救援陣に対する疲労軽減策をどのように考えているのだろうか。
2017/03/02
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常に登板準備をしておくことが本当にベストなのか
だが今回、日本ハムから代表に召集されている救援陣のひとり宮西尚生はチームの同じ調整スタイルをとっていないと報道されている。ペナントのリーグ戦と今回のような超短期決戦では事情が異なり、なるべく指揮官のために、いつでも登板できる準備を整えているそうだ。
宮西の気構え、心意気は素晴らしいと思う。
日本のため、もっといえば、指揮官が自由に起用しやすいように、自身の身体を調整しようという姿勢はプロフェッショナルといえるだろう。
だが、「いつでも行ける準備」という言葉は物凄く聞こえのいいスピリットであるものの、言い換えれば「常に、登板の準備」を強いられる。果たして、それが選手たちにとって、ベストなのかどうかは気がかりなところだ。
調整法が「選手任せ」になるのは仕方のないことだ。トッププロである彼らの調整法は強制するべきではない。ただ、調整を含めて選手に無理がかかってしまわないように取り組むことは、選手を預かる側の責務ではないだろうか。
秋吉のようにチームで「長く野球ができるため」の取り組みを継続しているケースは稀であるからこそ、野球界として考えていくべき事案のような気がする。
侍ジャパンは、ブルペンに投手コーチを置いていない。
その役を村田善則バッテリーコーチが務めることになるが、彼の裁量云々の話ではなく、代表チームとして救援陣の疲労軽減策は考えていくべきだ。
それこそ、高津氏や吉井氏、あるいはかつてのWBC代表選手やメジャー経験者の意見を吸い上げることで、知識の共有はできるはずである。
「MLBがやっていたブルペンの調整法はいいなと思ったんですけど、実は、このやり方をしていないのは日本だけなんですよ。僕は韓国や台湾でもプレーしましたけど、ブルペンの調整法はどの国もMLBと一緒でした」
高津氏はそう語っている。
「世界一奪還」と「選手の未来」―――。
この相反するものをどう妥結していくのか。
どちらかだけが重要だということはないはずだ。