侍J、エース・菅野を初戦で先発させない理由。キューバ戦は必勝を期したいが…【小宮山悟の眼】
第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が6日、ついに開幕した。本番直前の試合では5戦中3戦黒星を喫し、さらに東北楽天ゴールデンイーグルスの嶋基宏捕手が辞退するなど、王座奪還を目標としている侍ジャパンの雲行きが怪しい。だが小宮山氏は、どんなことがあっても第1ラウンドは突破できると考えている。
2017/03/07
1Rは見極めの期間
小久保裕紀監督の意図を読み取ると打線はまだ悩んでいるようだ。5日の試合後「打線を変更するタイミングだった」とコメントを出している。本番を想定し、様々なシチュエーションを思案しているのだろう。
相手投手によって打線の組み替えをしていくのか。どんな投手が来ても、どんと構えて同じラインアップで臨んでいくのか。どちらを選ぶのか注目したい。ただ、1次ラウンドはどんな間違いが起きても、実力的に突破できないということはないはずだ。そう考えると、1次ラウンドはこのWBCをどう戦い抜いていくのかを見極める期間としてもよい。
そのためには、初戦のキューバ戦を取るかどうかでガラリと変わってくる。前述したように、日本が重要視しなければいけないのは2戦目だ。初戦は日本がどれだけチーム力が仕上がっているかを見せつける場。2戦目が1次ラウンドにおける決勝戦のようなものと仮定すれば、初戦はそこに向けての勢いをつけるための戦いになる。
初戦のキューバは不気味なところがある。強化試合はOP戦的な感覚だから、雑な試合を展開していたが、本番が始まって目の色が変わってきた時にどんな試合をしてくるのかが分からない。もともとアメリカとの国交の問題で、選手がアメリカに流れているので、チーム編成そのものは苦しく、チーム力は落ちている。しかし、そうはいってもやはりキューバ。怖さは最後まで消せないだろう。
侍Jは何が何でも初戦を取りに行く姿勢で臨んでほしい。その気持ちを選手がどう表現するか。楽観視はしていないが、いい戦いはできるはずだ。いい形で2戦目に繋いで3戦目は本戦ではあるものの、様々なパターンをシミュレートするテストのような試合にできれば理想的だ。2次ラウンドに向けてのいい調整の場が生まれる。
そうなれば、ドジャー・スタジアムは見えてくる。
小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。