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「隠れ新人王候補」杉浦稔大はヤクルト投手陣の救世主になるか?

2年連続最下位からの巻き返しを目指し、このオフは積極的な補強に打って出た東京ヤクルトスワローズ。特に昨年は壊滅状態だった投手陣は、FAの成瀬善久を獲得したことで石川雅規、小川泰弘との先発3本柱が確立した。だが、上位進出を狙うには彼らに続く投手、いわば『救世主』となる存在が必要だ。その可能性を秘めているのがプロ2年目の右腕、杉浦稔大である。

2015/01/28

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ルーキーシーズンのK/BBは驚異の14.00

 待望のプロ初勝利はその2週間後の広島戦。試合前からの雨でプレーボールが30分遅れ、さらに開始から5球投げたところでまた中断とアクシデントが重なりながらも、5回まで3本のソロ本塁打による3点でしのいだ。最後のイニングとなった5回は丸佳浩、エルドレッド、松山竜平のクリーンアップから3者連続三振を奪うなど、この試合でも8つの奪三振を記録した。
 
 試合後に神宮のクラブハウスで記者に囲まれた杉浦は「やっと本当に勝てたなっていう感じです」と喜びを口にしながらも、その目はしっかりと次のシーズンを見据えていた。
 
「今のうちに一軍のレベルを吸収して来年につなげるっていうのが、自分がこうして投げさせてもらっている目的だと思う。この経験を無駄にしないで、来年につなげたい」
 
 続く10月1日の巨人戦では7回を投げ、ソロ本塁打による1失点のみに抑えて2勝目を挙げた。結局、4試合の登板で2勝2敗、防御率3.52というプロ1年目の成績はさほど目を引くものではない。しかし、計23イニングで28三振を奪ったのに対し、与えた四球はわずかに2つ。3.5を超えれば優秀とされる奪三振と与四球の比率(K/BB)は、14.00という驚異的な数値に達していた。
 
 今年のヤクルトは石川、小川、そして成瀬のローテーション入りはほぼ確実。4番手以降を杉浦を含め、過去2年ローテ入りした八木亮祐、昨夏から先発に回った石山泰稚、昨年は先発でそれぞれ4勝、3勝を挙げた木谷良平と古野正人、昨年9月にプロ初勝利を挙げた徳山武陽、そして2ケタ勝利2度の実績を持つ村中恭兵らで争うことになる。
 
 この中で『救世主』となるのは誰か? 真中満新監督は「杉浦、石山は昨年いい経験をしているので、それを自信に安定した投球をしてくれればという思いはある。この2人がずっとローテーションで回れるようであれば、いい戦いができると思う」と、3年目の石山とともに杉浦に期待を寄せている。
 
 杉浦は昨年1月の入寮の際、故郷・十勝で醸造された麦焼酎、その名も「十勝無敗」を持参し、「無敗のまま10勝したい」とルーキーシーズンの目標を語っていた。今シーズン、無敗とは言わないまでも2ケタ勝利を挙げて投手陣の『救世主』となることができれば、ヤクルトの上位進出は現実味を帯びてくる。そして、資格を残している新人王のタイトルにもグッと近づくはずだ。

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