WBCで主力不在も、ソフトバンク戦で見せた連覇への布石【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#46】
WBCで6人の選手が離脱中の北海道日本ハムファイターズ。その状況下で、チームは連覇に向けて、優勝候補の一角・ソフトバンクとのオープン戦で布石を打った。
2017/03/12
主砲不在、4番岡への指示
WBCが始まってファイターズファンは忙しいのだ。大谷翔平、中島卓也の参加こそ見送られたが、チームから日本代表に4人(増井浩俊、宮西尚生、大野奨太、中田翔)、メキシコ代表に2人(メンドーサ、レアード)の合計6人が招集されている。1次ラウンドのオーストラリア戦ではついに中田にホームランが飛び出した。ずっとノーヒットだったからホッと胸を撫で下ろした。この試合、宮西も好投したから北海道のお茶の間はさぞや盛り上がったことだろう。
が、オーストラリア戦の裏で、オープン戦「ソフトバンクvs日ハム」も行われていた。ヤフオクドーム3連戦の第2戦、言うまでもなくパの黄金カードだ。先発は摂津と加藤貴之。ある意味、コアファンにはWBCより重要だ。通常はオープン戦といったらローテ争いレギュラー争いなど「チーム内の戦い」に注目が集まる。が、ことソフバン相手だとやっぱりひと味違うものになっていた。
6回表の場面を振り返ってみよう。スコアは0対1と1点ビハインド。マウンドにはホークス2番手の高橋純平がいる。球が抜けて連続四球で無死1、2塁をつくった。打席には4番、岡大海。ここで何を仕掛けるかがポイントだった。通常の4番中田なら打たせる一手だ。が、岡なら細工ができる。仕掛けて「ハムはいやらしいことしてくるな」とホークスの脳裏に焼き付けたい。
ファイターズベンチの採った作戦はバスターだった。「四球・四球・バスター」で同点というやり口。さらに田中賢介が三遊間を割って逆転で、2対1。相手にとっては豪快なホームランよりダメージのある、まさに「もぎ取るような得点」だった。前哨戦としては満点じゃないか。残像を敵に残すことができた。中継画面にベンチが映って、栗山英樹監督、金子誠コーチが揃って口をとんがらせ、にんまりしそうになるのをかみ殺していた。