悩める巨人の開幕オーダーは? 大補強は総崩れ…世代交代の鍵は”強化指定選手”か【死亡遊戯コラム】
23日試合終了時点で、オープン戦のチーム打率、防御率ともに最下位、そして順位も最下位と、開幕目前で不安を露呈している読売ジャイアンツ。これまでも若手の台頭が待望されてきたが、今季こそ出てくるのだろうか。
2017/03/24
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待望される若手の台頭
巨人が苦しんでいる。
投打ともに絶不調で現在オープン戦6連敗中、17試合4勝13敗の最下位。さらにチーム打率.193、防御率4.74もぶっちぎりの最下位である。
WBCで侍ジャパンに坂本勇人内野手、菅野智之投手、小林誠司捕手という代えのきかない主力選手が選出されていたから…と思いたいところだが、前回13年大会時は杉内俊哉投手、内海哲也投手、山口鉄也投手、澤村拓一投手、阿部慎之助捕手(現在は内野手登録)、坂本、長野久義外野手と12球団最多の7名もの選手を代表派遣しながらも、残された選手たちが奮起しオープン戦を10勝4敗3分けの首位でフィニッシュ。
シーズンでも開幕投手を当時20歳の宮國椋丞投手が務め、夏場には村田修一内野手が完全復活し、2位阪神に12.5ゲームの大差をつけて連覇達成。WBCの影響は微塵も感じさせなかった。
ちなみに原辰徳前監督が日本代表監督を務め世界一に輝いた09年大会のシーズンでも巨人は日本一に輝いている。しかも、代表招集された亀井善行外野手の代わりにオープン戦から起用された松本哲也外野手がブレイク。この年、外野のレギュラーを掴み育成出身野手初の新人王を獲得した。いわば、原巨人時代のチームは中心選手が代表選出されようが、それをカバーできる異様な選手層の厚さがあったということだ。
だが、2017年は少し事情が違う。
オフに大型補強を敢行するも、山口俊投手は右肩違和感で3軍調整が続き、陽岱鋼外野手も下半身の張りで開幕絶望的。新助っ人ケーシー・マギー内野手もオープン戦打率.146と低迷。4年前の東北楽天ゴールデンイーグルス時代と比較すると体重も増え、現時点では身体のキレがまったく感じられない。23日にイースタン・リーグ楽天戦で2本塁打7打点と復調気味のギャレット・ジョーンズ外野手との入れ替えもあり得るだろう。
そして、2013年の侍ジャパン組もそれぞれ野球人生の岐路に立つ。昨季1軍登板なしの杉内は股関節手術からの復帰を目指し、内海や山口はそれぞれ30代中盤を迎え開幕1軍当落線上。さらに昨季最多セーブの澤村も右肩のコンディション不良で復帰時期は未定だ。
完全に一塁専任の38歳阿部に加え、32歳の長野もここ数年はすっかりベテランの雰囲気。坂本との「サカチョーコンビ」という名称もほとんど聞かれなくなった。
こんな時こそ、09年の松本のようなイキのいい若手の出現を期待したいところだが、オープン戦で合格点の結果を残している野手はすでに1軍実績のある立岡宗一郎外野手、北海道日本ハムファイターズから移籍してきた石川慎吾外野手くらい。坂本のバックアッパー遊撃手、小林と同世代の捕手育成といった長年のチームの課題は解消されないままだ。