球春到来! 黒田、松坂、中島、田中……米国からNPBへ復帰した4選手の今季を占う【小宮山悟の眼】
今季は、米国から日本に復帰する選手が多い。異国の地で積んだ経験は、チームにとって大きなプラスとなるはずだ。彼らの加入によって、今季のペナントシリーズは一層面白いものになるだろう。小宮山悟氏にとって、彼らはどのように映っているのだろうか。
2015/02/01
並々ならぬ思いで今季に臨む中島と、リーダーシップを期待される田中
さて、野手に目を移してみる。中島の場合は結局、メジャーでプレーすることなく日本球界に復帰することになった。米国の地でチャンスを与えられると思って、海を渡ったはずなのに、現実は違った。その忸怩たる思いは相当なもの。
2年間に溜まりに溜まったうっ憤を一気に吐き出すように、懸命に頑張るだろう。
危惧するのは、その頑張りが空回りしないかどうか。今季への思いが強すぎるために、その点がいささか心配だ。
古巣の西武に戻らなかったことで、ファンの中には快く思わない人もいるかもしれない。しかし、その古巣と比較にならないほどの大型契約をオリックスが提示したのだから、仕方ない面もあるだろう。
おそらくオリックスは、内野のポジションの確約をしているだろうから、その点も魅力だったのではないか。「もう、アスレチックス時代と同じ思いはしたくない」と考えたのなら、その心情には理解できる部分が多々ある。
中島とは対照的に、古巣にウエルカムで迎えられた田中。2年間、夢を追って渡米したものの、それが叶わず帰国する彼に、日本ハムが「期待しているよ」と声を掛けた。その期待とは、稲葉篤紀と金子誠がいなくなったチームのまとめ役。非常に重要で、大変なポジションだが、その期待の大きさは大きなやりがいにもつながるだろう。
4選手はそれぞれの想い・事情を抱えながら、NPBのグラウンドに立つ。彼らがどんなプレーぶりを見せてくれるのか。彼らの活躍によって、より活気溢れるシーズンになることを期待したい。
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小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。