キャンプで注目選手 「チームの大黒柱」になるか「オープン戦の星」で終わるか?【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、球春到来ということで、少し気は早いがオープン戦の成績上位の選手が公式戦ではどういう成績になったかを調べてみた。特に若手、新人、新外国人はキャンプの紅白戦から注目していくと、より面白く野球を楽しめるだろう。
2015/02/01
若手、新人、新外国人は不透明。見極めが重要に
投手についても見ていこう。規定投球回数に達して防御率3点台以上の投手、タイトルを獲得した投手に〇を付けた。
2014年、グレッグ・レイノルズが防御率1位。しかしシーズンに入ると打ち込まれ5月に二軍落ち。9月に戦力外になった。
セパの新人王がオープン戦でともに1点台の成績を残している。また、2年目の菅野智之、則本昂大は調整が早く、2年連続オープン戦で好投し、シーズンでも大活躍した。まさに「勝ち星が計算できる選手」だ。
2013年は、大器と言われた宮國椋丞が好投。シーズンに入ると勝ち星には恵まれなかったが規定投球回数に達した。
菊池雄星はオープン戦で頭角を現し、シーズン前半に好投。しかし故障のために8月に登録抹消された。
2012年、阪神を戦力外になりテストを受けて楽天に入団した43歳の下柳剛もオープン戦で好投したものの、シーズンに入ると一転、不振が続き、戦力外になった。実質的にこの年がキャリア最終年になった。
2011年、田中将大がオープン戦で完ぺきな投球を見せ、シーズン中も最多勝、沢村賞に輝いた。また、田中のチームメイトだった戸村健次は、オープン戦で好投してもレギュラーシーズンで実績があげられない年が続いている。
2010年、この年のオープン戦の10傑に入った投手は全員が規定投球回数をクリア。こんな年も珍しいのではないか。各球団のエース級がずらりと並ぶ。主力投手の調整が早かったのだろう。
こうしてみると、オープン戦でシーズンを占うのは結構難しいことがわかる。
実績のある投手のオープン戦の好成績はある程度信用できるが、若手、新人、新外国人は不透明だ。だからこそ、首脳陣の見極めが非常に大事になってくる。
ファンもそういう視点で見てみると、また野球の見方が変わってくるのではないだろうか。