大変革は不要――。阪神・藤浪晋太郎が果たしていた“責任”と改善すべき“1つのポイント”【データで解く野球の真実】
昨季は7勝11敗と負け越し、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表に選出されながら登板機会にあまり恵まれなかった阪神・藤浪晋太郎。入団以来華々しいキャリアを歩み、成長を遂げてきた若きエースは今、“踊り場”に立っているようにも映る。だがデータ上では、昨シーズンの藤浪はこれまでと遜色ない成績を残していた。
2017/04/04
DELTA/Getty Images
イニングにこだわりを見せる藤浪。昨季の減少の理由は?
藤浪はこのオフ、今シーズンの目標を「200イニング」とコメントするなど、投球イニングに対するこだわりを度々うかがわせている。2015シーズンは199と大台到達目前まで迫りながら、昨シーズン169へと後退したことは、本人にとってかなり悔しいことだったに違いない。
イニングが大幅に減少した原因はいくつかある。最も大きなものとしては、昨シーズンは2015シーズンと比べて先発登板が2度少なかったことだ。もし、あと2度先発して6イニングずつ投げたとすれば、投球イニングの減少は18イニングまで圧縮できていた。
登板機会減以外で、投球イニングの減少への影響が生じた予想されるのは、初回に偏って喫している失点数からうかがわれる「立ち上がり」の問題である。
1回:25点(26回)
2回:10点(25回)
3回:6点(25回)
4回:8点(25回)
5回:7点(24回)
6回:9点(22回)
7回:8点(16回)
8回:3点(5回)
9回:2点(3回)
これは藤浪のイニング別失点数で、( )内はそれぞれのイニングへの到達回数である。イニングが深まるほど到達回数が少なくなっていくので、浅い回ほど失点が多く、深い回ほど少ないのは当然のことなのだが、それでも初回に喫している25失点は多い。到達回数であまり変わらない2回から5回は10点以内に収まっているのだ。
昨シーズンの藤浪は、1回7失点で降板した8月30日の中日戦をはじめ、26度の先発登板中、11度初回に失点している。初回に限定して成績を算出すると、四球を出す確率(BB%=与えた四球を対戦打者数で割ったもの)が16.4%と極めて高い。それ以外のイニングでは8.0%だったので、それと比べて2倍以上の頻度で四球を与えている。これが、初回に多くの失点を許してしまう直接的な原因になっていたと見られる。