工藤公康が語る、バファローズ・金子千尋投手が負けない理由
8月末に当編集部が編集制作したプロ野球解説者・工藤公康氏の野球観戦本『ピッチャー視点で"観戦力"を高める 工藤公康のピッチングノート』(カンゼン刊)が出版された。その書籍内より、今季好調なオリックス・バファローズをけん引するエース・金子千尋の投球術について、プロの視点から解説している。
2014/09/18
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藤浪投手や金子投手からわかる、腕の振りとキレのギャップ
今年のキャンプで、藤浪晋太郎投手(阪神タイガース)が「インステップの矯正に取り組んでいる」と話題になった。藤浪投手は前足をホームベースに向かって真っ直ぐ踏み出すのではなく、右バッターボックスの方向に踏み出すクセがあった。そこから上体をひねって投げるので、前の肩を早めに開かざるをえない投げ方をしていた。
メリットもあった。右バッターの外にビシッと決まったストレートは、ほかのピッチャーよりも角度がある。スライダーがときおり、右バッターの内側に抜けることもあったが、背中側からインコースに曲がってくるため、バットを出しづらい球種にもなっていたのだ。
ただ、やはりインステップをしている分、細かいコントロールはつけづらい。踏み出し足の力の方向性が違うため、体にも無理な負担がかかることになる。1年で終わるプロ野球であればいいが、5年、10年、15年先を考えると、やはり直したほうがいいだろう。
藤浪投手に関しては「フォーム矯正」と書かれることが多かったが、ピッチャー出身のぼくからしたら、インステップを直すことはフォームを直すことにはつながらない。フォームを直すとは、腕の上げ方や腕の角度を変えることであって、ステップを変えるぐらいであれば、そこで大きな矯正ではないだろう。